第1部. バイオナノファイバーの応用技術の発掘と医療用途での可能性
(2016年7月25日 10:30〜12:15)
ポリ乳酸共重合体の構造と力学特性を解説するとともに、セグメントブロックをもつポリ乳酸マルチブロック共重合体の合成と特徴、医療分野への応用について紹介する。
- はじめに
- 考えるということ
- なぜ生物材料か?
- セルロースの階層構造形成 (生合成からペリクル形成まで)
- セルロースの階層構造と機能の相関
- バイオナノファイバーについて
- 酢酸菌由来のバイオナノファイバーの応用の歴史 (バイオメディカルを中心にして)
- 酢酸菌由来のバイオナノファイバー (ペリクルかシングルか?)
- ACC法による酢酸菌由来シングルナノファイバーの創製と特徴 -
- 応用技術の発掘のポイント?
- 高い吸着力を有するセルロースナノファイバーの被覆による基板表面の性質反転効果
- セルロース繊維のナノ微細化とポリ乳酸とのコンポジット材料の創製
- セルロースナノファイバーの新奇形態:セルロース・ナノアネモネ
- 今後の展望と課題 (医療用途での可能性を中心に)
第2部. 医療用途を志向したバイオナノファイバーの生理機能
(2016年7月25日 13:00〜14:45)
カニ殻の主成分であるキチンを粉砕によりナノファイバーに微細化する技術を開発している。本材料は極めて細くて均一である。また、結晶性の高い繊維であるため物性に優れる。よって、素材を強化する補強繊維や食品の物性を変える添加剤として利用可能である。そして、多彩な生体機能を備えている。例えば、1.肌への塗布による創傷の治癒、皮膚炎の緩和、コラーゲンの増生、アンチエージング、2.服用による腸管の炎症の緩和、ダイエット効果、腸内環境の改善、3.植物に対する免疫機能の活性化、病原菌の抗菌効果が挙げられる。
本セミナーではナノファイバーの製造から、化学的な表面改質、実用化を可能にする多様な生理多彩な機能などについて、セルロースナノファイバーとの差別化を念頭に紹介する。
- キチンナノファイバーについて
- キチンとは
- 木材由来のセルロースナノファイバー
- カニ殻由来のキチンナノファイバー
- 効率的なキチンナノファイバーの製造方法
- 高性能繊維のナノファイバー化
- キチンとセルロースナノファイバーの比較
- キチンナノファイバーの化学修飾による改質と機能化
- キチンナノクリスタル
- 表面キトサン化キチンナノファイバー
- キトサンナノファイバー
- アセチル化キチンナノファイバー
- 表面グラフト化キチンナノファイバー
- イミド化による表面改質
- 両イオン性キチンナノファイバー
- N-塩素化ナノファイバー
- 機能性材料としてのキチンナノファイバー
- キチンナノファイバーのゲル化
- 銀ナノ粒子の基材としてのナノファイバー
- キチンナノファイバーを複合した透明なフィルム
- プラスチックとの複合
- シルセスキオキサンとの複合
- キトサンとの複合
- グリセロールによる物性制御
- タンパク質と複合したキチンナノファイバー
- キチンナノファイバーの生理機能
- キチンの生体機能
- キチンナノファイバーの肌に対する効果
- 肌の美容の促進
- 創傷の治癒
- 食品としてのキチンナノファイバーの効果
- 腸管の炎症の緩和
- ダイエット効果
- 腸内環境の改善
- 小麦製品の生地の強化
- 植物に対するキチンナノファイバーの効果
- 植物病原菌の抗菌
- 免疫機能の活性化
- おわりに
第3部. バイオナノファイバーを利用した細胞足場の研究動向
(2016年7月25日 15:00〜16:45)
生体内吸収性ポリマーを中心とするバイオポリマーのナノファイバー化技術や三次元化技術を概説し、引き続いてバイオナノファイバーの再生医療への応用を中心とする最近の研究動向を紹介する。
- 再生医療用バイオポリマー
- 乳酸系、グリコール酸系ポリマー
- ポリペプチド系ポリマー
- 多糖類
- ナノファイバーの作製技術
- 電界紡糸 (溶媒型)
- 溶融型静電紡糸
- セルロースナノファイバー
- その他のナノファイバー化技術 (凍結乾燥、発泡、相分離など)
- 三次元化技術、複合技術
- バイオナノファイバーの細胞足場材料への応用例
- 足場材料に求められる諸特性
- バイオナノファイバーの修飾、機能化
- 骨再生への応用
- 神経再生への応用
- 皮膚再生への応用
- 血管移植への応用