「固体は神の創造物だが、表面は悪魔の仕業だ」は物理者パウリの言葉ですが、粒子表面も分散化だけを考えても複雑で面倒です。そのため、静電反発作用の弱い有機溶媒/樹脂中で分散安定化を図るには、粒子表面特性に合わせて溶媒/樹脂、湿潤剤や分散剤を選ぶか、あるいは粒子の表面改質を行う必要がありますが、どうしても試行錯誤になり勝ちです。
本講では、溶媒/樹脂、粒子および分散剤を三位一体として捉え、それらの評価指標として溶解度パラメータ (SP値) を軸に,表面自由エネルギー、接触角、酸塩基特性などを取り上げ、分散不良を起こさないための最適な組み合わせはどうあるべきか、多くの事例を踏まえて基礎から解説します。
- はじめに
- 分散系の性質
- 製造工程における分散不良の原因
- 分散系における熱力学と溶解度パラメータ (SP値)
- 溶解と分散の熱力学
- 分子間力とχパラメータ (相互作用パラメータ)
- SP値の考え方
- HildebrandおよびHansenのSP値 (HSP値)
- 溶媒および高分子のSP値の求め方
- 粒子表面のSP値の求め方
- 逆相ガスクロマトグラフィー(IGC)法
- 凝集沈降法
- ぬれ不良の原因と解決法
- 表面自由エネルギーに基づくぬれの評価と溶媒の選択
- SP値を用いたぬれの評価と溶媒の選択
- 安定性不良の原因と解決法
- 分散剤の種類と構造
- 高分子分散剤による立体反発効果と選択指針
- 高分子分散剤の吸着特性
- 分散不良解決のための表面改質法
- 表面改質の物理的・化学的方法
- 界面活性剤の種類と親水化・疎水化例
- 表面反応法による改質
- 樹脂中における分散不良の原因とその解決例
- 表面改質の評価法と分散不良の解決例
- 非相溶性高分子ブレンドにおけるフィラーの局在性
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