撥水・親水化技術とぬれ性の制御、評価法

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プログラム

第1部 有機フッ素化合物を使わずに各種液体や氷の付着を抑制できる表面処理技術

(2016年7月21日 10:00〜11:15)

 これまで水や油をはじく表面を作製するには、有機フッ素化合物を使用し、見た目の接触角を大きくすることが重要であると考えられてきた。動的濡れ性を制御することができれば、有機フッ素化合物を用いなくとも、また、接触角を大きくしなくても、水や油、あるいは氷の付着をも抑制することができる。本講演では、動的濡れ性の基礎と応用について実例を挙げながら分かりやすく解説する。

  1. 濡れの基礎
    1. 静的接触角
    2. Youngの式
    3. Wenzelの式
    4. Cassieの式
    5. 3相接触線の重要性
  2. 動的濡れ性
    1. 接触角ヒステリシス
    2. 転落角
    3. 動的濡れ性制御 (低ヒステリシス化) のコンセプト
  3. 低ヒステリシス表面の事例
    1. 有機-無機ハイブリッド皮膜
    2. 耐熱性に優れた撥油皮膜
  4. 生物の分泌機能に学んだ撥液材料
    1. 粘性液体に対する撥液性
    2. 着氷防止機能
    3. 自己修復型超撥水性
  5. まとめと今後の展開

第2部 大気圧プラズマ複合プロセスによるポリマー・ガラスの表面処理技術

(2016年7月21日 11:25〜12:40)

 本講義では、はじめに大気圧プラズマの基礎をわかりやすく解説し、ポリマー・ガラスの大気圧プラズマ複合表面処理技術に関して基礎原理と適用事例を詳細に解説します。ポリマーとしては濡れ性の制御が最も困難なフッ素樹脂を主として取り上げ、撥水特性を制御して恒久的親水化を実現する技術を解説します。これが実現できれば他のポリマーにも容易に応用できます。つぎにガラスの恒久的撥水処理適用事例を解説します。  受講後、類似の開発を直ちに開始できるような具体的情報提供を行います。

  1. 大気圧プラズマ複合プロセスによるフッ素樹脂フィルムの接着性向上技術
    1. 大気圧低温プラズマと発生法
    2. プラズマとは?
    3. プラズマジェット電極
    4. プラズマ装置と電子回路
    5. フッ素樹脂の特性
    6. 大気圧プラズマグラフト重合処理装置
    7. プラズマグラフト重合とは
    8. フッ素樹脂A4サイズフィルムプラズマグラフト重合処理装置と実験条件
    9. 接触角による親水性評価
    10. はく離試験による接着性評価
    11. 金属接着時の試料断面図
    12. ESCA (XPS) による表面分析評価
    13. 電子顕微鏡による表面写真撮影
    14. 従来技術 (ナトリウム-アンモニア処理等) との比較
    15. テフロン表面へのめっきについて (プラズマ複合めっき処理)
  2. 大気圧プラズマ複合プロセスによるガラス表面の恒久的処理技術
    1. 自動車のフロントガラスやサイドミラーの水滴除去
    2. ガラス表面のプラズマ改質装置
    3. プラズマのみを照射した場合 (親水性向上)
    4. プラズマ・ケミカル複合プロセスによる恒久的はっ水処理
    5. 恒久的表面処理のメカニズム

第3部 環境適合型フッ素系撥水撥油剤の開発と応用

(2016年7月21日 13:20〜14:35)

 フッ素系撥水撥油剤は、テキスタイル、不織布、カーペットおよび紙などへ撥水撥油性を付与出来る、高機能材料である。近年、フッ素系撥水撥油剤の原料であるフルオロテロマーに由来するパーフルオロオクタン酸 (PFOA) の環境ならびに生体への蓄積性懸念が高まりより広く調査・研究が行われるようになった。本講座ではPFOA問題の概要、フッ素系撥水撥油剤の構造と撥水性能発現機構の関係について触れ、PFOAを含まない環境適合型 (短鎖型) のフッ素系撥水撥油剤の代替技術とその商品および今後の展望について述べる。

  1. フッ素の機能について
  2. フッ素系撥水撥油剤について
  3. フッ素化合物を取り巻く環境課題について
    1. パーフルオロオクタン酸 (PFOA) のグローバル規制動向
    2. PFOAに関するこれまでの取り組み
  4. フルオロアルキル化合物の製造方法
  5. フッ素系撥水撥油剤の構造
  6. フッ素系撥水撥油剤の撥水性能発現機構
    1. 動的接触角
    2. 熱分析
    3. 分子鎖凝集構造
    4. 環境応答性
  7. 環境適応型 (短鎖型) フッ素系撥水撥油剤の材料設計指針
  8. 応用
    1. テキスタイル用途
    2. 撥水撥油性と風合いを合わせ持つフルオロ-シリコーンハイブリッド型撥水撥油剤
    3. Soil Release (SR) 剤
    4. 不織布用途
  9. 今後の展望

第4部 生体模倣技術としての周期凹凸構造の形成と高撥水化技術

(2016年7月21日 14:45〜16:00)

  1. バイオリズムと散逸構造
    1. 生命体に発生する時空間的挙動と散逸構造
    2. 散逸構造 (平衡から遠く離れた系における自己組織化) とは
    3. 散逸構造としての空間周期パターン
  2. 非平衡場における界面形状ゆらぎの成長と空間周期凹凸構造の形成
    1. ヴィスコスフィンガリングの発生とその際の空間周期性
    2. ディウェッティングの進行とその際の空間周期性
    3. その他様々な空間周期形状パターンの発生
  3. 空間周期凹凸構造の形成と高撥水化技術
    1. 疎水性表面の粗さによりもたらされる高撥水性
    2. 非平衡場で発生した空間周期凹凸構造とその高撥水性

第5部 接触角法による超親水・超撥水の評価

(2016年7月21日 16:10〜17:25)

  1. ぬれと接触角
    1. 接触角とは?
    2. ぬれ性と接触角との関係
    3. 接触角から何がわかるか?
    4. 接触角測定の表面感度
  2. 表面張力
    1. 表面張力とは?
    2. 液体の表面張力が大きくなるとぬれ性はどうなるか?
    3. 固体の表面張力が大きくなるとぬれ性はどうなるか?
    4. Youngの式~接触角と表面張力との関係
    5. ぬれ性を制御するにはどうすればよいか?
  3. 表面張力の理解
    1. 表面張力の定義
    2. 表面自由エネルギーとは?
    3. 表面張力は何に由来するか?
    4. 液滴はなぜ丸くなるか?
  4. 接触角の測定方法と測定上の注意点
    1. 接触角の測定方法
    2. 接触角は10°ばらついてアタリマエ?
    3. 接触角と表面汚染~大気曝露時間、汚染量
    4. 各種洗浄による接触角の変化
    5. 接触角の定義をどうするか?~液量依存性と経時変化
    6. 固体表面の帯電の影響
    7. 試液として蒸留水は使えない?

会場

株式会社 技術情報協会
141-0031 東京都 品川区 西五反田2-29-5
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