第1部 制御と設計による可変速SRモータの低振動・低騒音化技術
(2016年7月26日 10:30〜12:10)
レアアース材の価格高騰・供給不安の問題から、レアアースフリーモータの1種であるスイッチトリラクタンスモータ (SRモータ) が、近年、再注目を集めている。レアアースフリーモータながら、サイズ・効率という点ではIPMSMと遜色ない特長を有するが、大きな課題の1つがその振動・運転音である。
本講座では、SRモータの振動・騒音発生要因を述べ、その中でもSRモータの独特の制御に起因する振動・騒音の低減方法として、制御による手法 (二段階転流法) 、構造による手法 (ロータ極形状設計) を紹介し、種々の実試験・解析シミュレーションにより、その効果について紹介する。
- SRモータとは
- SRモータの振動・騒音発生要因
- 電磁的各種要因
- 電磁加振力と固有振動と回転数の関係
- 転流時のステータ振動発生メカニズム
- 騒音発生メカニズム
- 二段階転流法によるステータ振動・騒音低減
- 二段階転流法とは
- シングルパルス駆動への二段階転流法の適用
- PWM駆動への二段階転流法の適用
- ロータ極形状による振動・騒音低減
- 二段階転流法の成立要件
- 高速回転時に転流タイミング以前に発生する振動の考察
- ロータ極形状設計による転流タイミング以前の加振力抑制
- まとめ
第2部 SRモータの電流制御技術と駆動システムの高性能化
(2016年7月26日 13:00〜14:40)
スイッチトリラクタンスモータ (SRM) は、回転原理が従来の直流モータやACサーボモータなどとは根本的に異なり、永久磁石を使わないモータです。このモータは非線形性が強く制御が難しいモータですが、磁石材料の価格暴騰や資源の枯渇という大問題がある従来のモータに代替する有力候補です。
本セミナーでは、SRMの基本として、構造と回転原理およびこれに起因する問題点を説明します。次に、SRMの電流制御について、その留意点・課題および現在の技術開発内容をわかりやすく解説します。
- SRMの原理
- 基本の構造
- 回転原理とリラクタンストルク
- 数式モデル
- SRMの非線形性に起因する課題
- 振動と騒音
- トルク脈動
- SRMの電源回路 (駆動回路)
- 基本回路
- 瞬時電流制御法
- 電源回路制御による回転特性の改善事例
- トルク脈動改善法の基本方法の事例
- 駆動回路方式改善事例
第3部 SRモータのセンサレスロータ位置検出手法
(2016年7月26日 14:50〜16:30)
SRモータは構造が単純で高回転運転に向いています。しかし、同期型モータであるために、ロータ位置の検出が必要です。このため、ロータ位置のセンサレス手法が多く提案されています。ロータ位置をセンサレスで検出する際、駆動電流の影響を避けるために様々な手法が提案されていますが、なかなか困難な問題です。
本講座では、原理的に駆動用電流の影響をほとんど受けないセンサレスロータ位置検出手法を説明します。静電型と磁気型の2種類の解説をします。また、これらの展開として考えられるセンサレスロータ位置検出手法の可能性について述べます。
- はじめに
自己紹介、SRMとの縁など
- スイッチトリラクタンスモータについて
- トルクの発生原理の概略
- 磁化曲線からのトルク計算の概要
- 交流理論から見たときのSRM
- 回転によるインダクタンス、相互インダクタンス、突極間静電容量等の変化
- センサレス化の先行研究
- パッシブ型とアクティブ型
- 従来技術の問題点
- 静電型センサレスロータ位置検出方法
- 突極間静電容量の変化
- 信号結合回路
- 絶対角度の推定
- 共振による検出感度の増加
- 実験とシミュレーション結果
- 信号電流によるトルク
- 起電圧による信号電流への干渉
- 駆動電流との非干渉性の評価
- 磁気型センサレスロータ位置検出方法
- 自己インダクタンスと相互インダクタンスの変化
- 信号の送受信
- 信号電流によるトルク
- 起電圧による信号電流への干渉
- 駆動電流との非干渉性の評価
- シミュレーションと実験結果
- 並列接続型SRMへの対応
- 他のセンサレスロータ位置検出方法の可能性
- シャフトへの信号結合
- 磁化曲線からの推定
- 静電磁界の空間変調方式の応用の可能性
- まとめ