(2016年6月27日 10:30〜12:00)
固体間凝着現象を物理的に理解する為に行って来た著者の研究を紹介し、様々な生物が利用して居る把持機構のメカニズムを、著者らが提案してきた凝着や把持のメカニズムに対するモデルを用いて説明し、生物模倣把持デバイスの設計例を紹介する。 デバイスを設計するには、メカニズムを理解し、物理と数学の言葉で記述 (モデル化) し、目的とする性能を最適化した設計を行い、それを作製 (実現) することが重要である。これは、全ての研究において王道である。華々しい宣伝に惑わされず、地道に基本的な積み上げを行うことが科学技術者の本分であることを忘れないでほしい。 固体間凝着現象を物理的に解釈し、理解する為に行って来た著者の研究を簡単に紹介し、様々な生物が利用して居る把持機構のメカニズムを説明する。さらに、著者らが提案してきた凝着や把持のメカニズムに対するモデルを紹介し、生物模倣デバイスの設計に役だっていることを説明する。 具体的には、超高真空の表面分析装置内に構築した独自の力計測システムで、吸着元素のない固体表面をつくり、それを電子分光により確認した上で、固体表面間に働く力を計測した例、および、その結果を物理的に解釈する為の理論を紹介する。理論的検討では連続体力学、分子力学、量子力学に基づいたアプローチを行っており、それらを理解した上で、凝着現象を端的に表現できるモデルを提案し、それらによって、生物の把持機構がうまく説明出来ていることを紹介する。 さらに、従来行われてきた生物模倣把持デバイスが十分な性能を発揮しなかった理由等も、そのモデルを用いて説明できることを示し、生物が進化の過程で得てきた構造の、不自然なまでに驚くべき精巧さを説明する。
(2016年6月27日 12:45〜14:15)
バイオミメティクス (生体模倣) とは、生物の構造や機能など生物が持つ優れた機能を模倣し工学のレベルでの応用、展開を目的としている分野である。バイオミメティクスの代表的な例としてはヤモリが有名である。ヤモリの足の裏には微細毛が密集して生えており、接触面に働く分子間力により天井やガラス面に粘着物質を使用せずに付着している。この構造を模倣し、粘性や接着性を有する化学物質を使わずに、かつ、接着面を汚さずに強力な接着力を有するテープが開発されている。 その他にも、砂漠に生息しているトカゲ表面の液体輸送をヒントにした霧からの集水システムなど生物が創り出す省エネルギーな機能は数多くある。そのため、生物の機能から着想したモノ作りは、これからの省エネ社会の材料開発に新しい潮流を生み出すことが期待できる。 本セミナーでは、バイオミメティクスの概念からその展開の一例である超撥水・超親水化技術の解析から応用展開までを、ステップを追って学習する。
(2016年6月27日 14:30〜15:30)
当社がこれまで培ってきた「ナノインプリント技術」と「ポリマー設計技術」をハイブリッド化し、バイオミメティクス分野であるハスの葉の表面を参考にした透明性と撥水性を兼ね揃えたフィルムを開発しました。本講演では、基本的な概論、開発の経緯から検討内容を踏まえて、紹介します。