本セミナーでは、様々な溶射法のプロセス物理から制御指針に関する技術の現状、将来展望まで正しく皮膜を作り、上手く機能性を発現させるための必須知識と最新研究トピックスを解説いたします。
サステイナブル人類社会の構築に向けて、材料・加工学の果たす役割は大きい。材料・加工学におけるサステイナビリティー実現の基本は、材料・部材における“高品位化、高特性化”と“リサイクル性”の双方を兼備する材料、部材、構造体の創成にある。これを可能とする先端技術の一つがナノテクノロジーである。ナノテクノロジーは、材料の構成単位をナノレベルにまで小さくすることで、新たな機能、特性発現の可能性を与える。この場合、構成単位を小さくするだけで物質そのものの変化を伴わないことから、リサイクル性もし易い。 一方、サステイナビリティー実現における、もう一つの重要技術が表面技術である。この場合は構造部材の部位における革新であり、表面における機能・特性を高品位化すればするほど、その高機能・高特性部位を表面に局所化することができ、またその部位が表面ゆえに、リサイクルも容易である。本講では、表面技術の中にあって特に、数十ミクロンメートルサイズの粒子の積層を基本原理とし、数十ミクロンメートル以上の厚膜創成を可能とする既存の溶射法と、昨今にわかに脚光を浴びつつある微粒子の積層により皮膜機能・特性の高品位、高度化を図るサスペンション溶射法のプロセス物理、制御指針に関する技術の現状、および将来展望を講述する。