分散系 (材料) 設計指針

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本セミナーでは、微粒子分散の基本的な考え方から、理論による理解、分散剤の使いこなし、溶剤系・水性系における配合設計・豊富な事例まで解説いたします。

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プログラム

粒子が分散した材料は、導電剤、電池、セラミックス、機能性コーティング、塗料、インキ、など様々な分野で利用されているが、「ボテボテとして流動性が無い・うまく塗れない。」、「時間が経つと凝集・沈降したり、粘度が増加したりする。」、「粒子そのものは小さいはずだが、スラリー中でなかなか小さくできない。」、「溶剤で希釈したりバインダー樹脂を添加すると凝集してしまう。」などの問題に直面するケースが多い。  本講座では、上記の諸問題が生じ難い実用的な分散系を設計するのに必要な、粒子の微粒化・安定のための基本的な考え方を最初に解説する。次に、粒子と分散剤 (バインダー樹脂) と溶剤の最適な組み合わせ方を、溶剤系、水性系について具体的に紹介する。また、分散剤の作用機構・配合量の決め方、分散機・分散プロセスの選択、粒子分散液と何かを混ぜた時に生じる問題と、その回避手段について平易に解説する。

  1. 粒子分散の基本的な考え方
    1. 粒子分散とは一次粒子の凝集体 (二次粒子) を解凝集する工程である。
      1. さまざまな形の一次粒子 ~この形状はフロキュレートしやすい~
      2. 吸油量
    2. 粒子分散の単位過程 ~ぬれ、機械的解砕、分散安定化~
      1. ぬれ ~ぬれを左右する因子、親和性が高いからぬれるのではない~
      2. 分散安定化 ~微粒化された粒子が再凝集するのを防止する~
    3. 主要成分 (粒子、分散剤やバインダー樹脂、溶剤) の親和性はどうあるべきか
    4. 粒子の分散状態や分散安定性と粒子分散系の性質
      1. 流動性 ~フロキュレーションがボテボテとサラサラを左右する~
      2. 沈降 ~微粒化すると沈降しないのは何故?~
      3. 光の散乱 (ヘイズ・隠ぺい) と粒子径
    5. 粒子分散の評価
      1. 視点は分散度と粒子間構造形成
      2. 代表的な粒子径測定装置使用上の注意点
      3. 濃厚系での分散度評価
      4. 構造形成の評価は粘度計で
  2. 溶剤系における分散設計の実際
    1. 溶剤、粒子の表面張力とぬれ性 ~溶剤系は分散安定化だけ考えればよい~
    2. 溶剤系での粒子、分散剤・バインダー樹脂、溶剤の親和性を取り扱うための尺度
    3. 粒子と分散剤・バインダー樹脂の間の親和性は酸塩基で考える
      1. 粒子や分散剤・バインダー樹脂の酸塩基性を知る
      2. 判らなければ自分で測る ~非水電位差滴定法~
      3. 粒子の等電点や等酸点は酸塩基性の目安になる
    4. バインダー樹脂でも分散する
      1. バインダー樹脂の酸塩基変性による分散用樹脂の調製
      2. 酸塩基相互作用の効果
      3. 阻害作用
  3. 水性系における分散設計の実際
    1. 水の溶剤としての特異性
    2. 水性系での疎水性粉体の分散ではぬれのプロセスが重要
      1. 粒子の親水 – 疎水性度とぬれ
      2. 粒子の乾燥凝集状態とぬれ ~ガス吸着を用いた凝集隙間の評価~
    3. 水性系における分散安定化の考え方
      1. DLVO理論のエッセンスと実用分散系に適用する際の注意事項
      2. 高分子吸着による分散安定化と吸着のドライビングフォース ~疎水性相互作用と静電引力~
    4. ぬれと分散安定化を両立する粒子表面の最適親水性度
    5. 共存有機溶剤の影響
  4. 分散剤の活用
    1. 分散剤の種類と利用に当たっての留意点
      1. 低分子分散剤 (界面活性剤)
        • CMC、曇点、クラフト点、HLB値
      2. 高分子分散剤
        • ホモポリマー
        • ランダム型共重合体
      3. ブロック型高分子分散剤 (直鎖型、くし型)
        • 分散安定性は最も良好
    2. 分散剤の分子構造と粒子分散性
      • アンカー部と溶媒和部の分子内分布
    3. ブロック型高分子分散剤の合成例と最近の開発動向
    4. 分散剤の使用に当たっての具体例
      1. 分散剤の評価とマッピング
      2. 分散配合、分散剤配合量の決め方
        • 粒子の表面積から、フローポイント法
  5. 粒子分散プロセス
    1. 粒子分散に用いられる一般的な分散機・撹拌機とその特徴
      • ロールミル
      • ニーダー
      • エクストルーダー
      • プラネタリーミキサー
      • ボールミル
      • アトライター
      • 高速インペラー分散機
      • コロイドミル
      • ビーズミル
      • 高圧ホモジナイザー
    2. 分散プロセス
      1. 分散方式
        • 予備混合 (プレミックス)
        • パス分散
        • 循環分散
      2. 多品種少量生産に適した分散機
    3. ナノサイズ分散機
      1. ナノサイズ分散機の特徴
      2. 過分散 ~一次粒子の破砕とその影響~
      3. 異種分散方式の組み合わせによる高分散度化
    4. 最近登場した分散機
  6. 粒子分散液に何かを混ぜる・塗工する
    1. 混合に伴う不具合現象とその原因、対処法
      1. 溶剤で希釈すると凝集・沈降した
      2. バインダー樹脂や硬化剤を入れると凝集・増粘した
      3. 単独では安定な粒子分散液同士を混ぜ合わせると生じる問題
        • 凝集、貯蔵すると色が変わる
        • 乾燥させると表面に一方の粒子だけ浮いてくる
        • 表面に模様ができる・粒子が分離しているようだ
    2. 相溶性や溶解性を支配するのは溶解性パラメーター (Solubility Parameter;SP)
      1. 溶解性パラメーターとは ~SPが近いもの程、良く混じる・良く溶ける~
      2. 三次元溶解性パラメーター ~Hansenパラメーター~
      3. 様々な溶剤のSP値 (リスト配布)
      4. 高分子のSP値の決め方
    3. 表面張力と塗工性
      1. 表面張力もSPも根っこは同じ分子間凝集エネルギー
      2. 表面張力とぬれ・ハジキ
      3. 粒子や固体表面の表面張力を求める

会場

京都リサーチパーク
600-8813 京都府 京都市 下京区中堂寺南町134
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