2016年4月1日、特許権の存続期間の延長に関する審査基準が改訂され、関連する審査事例も公表され、現在、新しい運用に従って、特許権の存続期間が延長されることになりました。また、本年3月25日、知財高裁・大合議判決として「マキサカルシトール事件 (均等侵害) 」の判決が示され、医薬品分野で初めて均等侵害が認められました。このような状況の下、今後は、新たなライフサイクルマネジメント (LCM戦略) を検討することが必要不可欠であり、本講座により、そのために必要な知見を提供します。
本講習会により、特許権の存続期間の延長に関する審査基準の改訂について説明し、実務上の留意点などの重要な知見を提供します。また、知財高裁・大合議判決「マキサカルシトール事件」の判示事項に基づいて、均等侵害に対応するために必要な知見を提供します。さらに、このような状況を踏まえて、今後の新たなLCM戦略の在り方について考察し、加えて、TPP関連法案による新しい特許期間延長制度の創設とその影響などについても説明します。講演者は、特許庁で20年間、特許審査・審判を担当し、現在は、大学教授と弁理士という立場から判例研究などを行っており、講演者の経験に基づく明解な説明が行われる予定です。
- 最近の知財情勢について
- 特許庁ステータスレポート (2016月3月公表) からの考察
- 最近の審査基準の改訂の傾向と留意点
- 特許権の存続期間の延長の改訂について (2016年4月1日~)
- 改訂後の基本的な考え方
- 先行処分と本件処分の包含関係について
- 実質的同一性に直接関わることとなる審査事項について
- 願書の記載事項における注意点
- 最高裁判決「アバスチン事件」からの教訓
- 主要国 (日米欧) における実務の比較
- 特許権の存続期間の延長の審査事例について (2016年4月1日~)
- 有効成分Aを含有する鎮痛薬 (事例1)
- 有効成分Aを含有する鎮痛用注射剤 (事例2)
- 有効成分Aを含有する抗癌剤 (事例3)
- 有効成分Aを備えた注射器P (事例4)
- 工程Xにより成分Aを製造する方法 (事例5)
- 有効成分Aを含有する殺虫剤 (事例6)
- 最近の知財高裁の判決の傾向
- 特許侵害事件におけるクレーム解釈
- 最近の均等侵害の判決の傾向
- 知財高裁・大合議判決「マキサカルシトール事件 (均等侵害) 」への対応
(知財高判2016年3月25日判決/2015年 (ネ) 第10014号)
- 事件の背景と経緯
- 主張立証責任の在り方
- 均等の第1要件について (非本質的部分)
- 均等の第2要件について (置換可能性)
- 均等の第3要件について (置換容易性)
- 均等の第4要件について (非容易想到性)
- 均等の第5要件について (特段の事情)
- 化学分野に特有の考え方と留意点
- 主要国 (日米欧) における実務の比較
- 今後の課題
- 今後のLCM戦略の見直しの必要性とその方向性
- 食品の用途発明の導入 (2016年4月1日~) とその影響
- TPP関連法案による新たな特許期間延長制度の創設とその影響