第1部. インシリコ創薬活用による効率化とメリット ~De novo デザインの新しい動き~
(2016年6月21日 10:00〜11:30)
化学空間中の目的活性を有する分子構造周辺にまだ見つかっていな分子構造をどのように探索するか、また構造活性相関モデルを用いて目的活性に対応する分子構造をいかに効率的に創出するかは創薬における一つの大きな課題である。このほか化学空間 (リガンド空間) 、タンパク質空間を可視化しながら、特定タンパクに特化した目的活性を有する分子構造が化学空間のどこに存在しそうかを検討するツールも発想を刺激するのに有効である。De novoデザインについて、現在開発が進められているいくつかの手法を紹介する。
- Inverse – QSARについて
- QSPR・QSARを利用した分子設計
- Virtual Screeningについて
- Inverse QSPR/QSARが活用できる余地
- 提案システム
- Inverse QSPR/QSARを利用した分子設計システム
- 確率分布として記述子情報を取得
- 構造生成について
- 応用事例
- Human alpha 2A adrenergic receptor (HUMAN ADRA2A) のリガンド提案
- 目的領域に多様な構造を生成する
- 化学空間の可視化
- 化学空間探索型構造生成
- 事例紹介
- 活性を考慮した化学空間およびタンパク質空間の可視化
- タンパク質空間の可視化
- 化合物空間の可視化
- 両者のリンクによる複数タンパク質への活性を考慮
- 事例紹介
- 今後の研究の方向性
第2部. IT創薬の現状と新たな展開
(2016年6月21日 12:10〜13:40)
科学分野でのスパコン応用として、東京大学先端科学技術研究センターおよび国内製薬企業との共同研究を通して実用化を進めてきたIT創薬 (新規高活性化合物設計) の現状と課題をご紹介する。あわせて、創薬と関連性の高い大規模ゲノム解析への取り組みについても触れたい。
- IT創薬の現状と課題
- 創薬プロセスの概観
- 化合物設計:OPMFによるde novo 化合物設計
- 化合物予測:MAPLE CAFEEによる高精度結合活性予測
- 大規模ゲノム解析への取り組み
- 疾患原因遺伝子の特定 (標的探索) と治験対象患者の選別 (治験)
- DNAメチル化情報を用いた、がん再発予測へのニューラルネット適用試行
- 今後の方向性
第3部. スーパーコンピューターを使った創薬ビックデータの解析
(2016年6月21日 14:00〜15:30)
ビックデータ時代に突入した今日、医薬品開発現場でも、ゲノム情報や臨床情報などの 様々な大規模データを的確かつ統合的に解析することが重要視されている。本講義では、医薬品開発でのインフォマティクス技術の具体的な応用例を紹介する。
- 製薬業界の現状
- 医薬品開発の流れ
- 医薬品開発における計算機の役割
- ビッグデータを活用した医薬品開発
- シミュレーションを活用した医薬品開発
- 医薬品開発からみたスーパーコンピュータへの期待
第4部. 創薬現場でのビッグデータの活用
(2016年6月21日 15:50〜17:20)
過去10年で、ゲノム科学やバイオインフォマティクスは一般的な技術となり、近年、ビッグデータやデータサイエンスなど情報技術の進歩を取り入れる事が期待されています。しかしながら、まだパラダイムシフトと呼べる程の大きな変化にはなっていません。本講演では、将来の創薬研究において必須プロセスになる可能性のある、探索研究やトランスレーション研究でのビッグデータに関連する取り組みを紹介します。
- 創薬プロセスとビッグデータの活用
- 公共ビッグデータの活用
- 社内データの作成
- 社内データーベースの構築と利用
- ビッグデータで病気を知る
- ビッグデータで薬を知る
- 新しい創薬技術とビッグデータ
- 創薬とビッグデータと人工知能
- 質疑応答