(2016年6月20日 10:20〜11:40)
近年、電力の有効利用に向けてパワーモジュールの普及が進み、放熱基板は高耐圧、高放熱、高信頼性が求められる電鉄、車載用途を中心に広く使用されている。 今後、次世代半導体素子 (SiC、GaN等) の普及に伴い、個々の部品に対して、パワー密度の増加に伴う放熱特性の改善、使用温度の高温化 (175℃→250℃) に伴う耐熱性の向上が要望されており、高熱伝導化や回路基板としての高信頼性に向けた種々の対応が図られている。 本発表では、放熱構造も含めた放熱基板の技術開発状況について報告を行う。
(2016年6月20日 12:20〜13:40)
SiCパワーデバイス実用化に向けたサーマルマネージメントのために、放熱基板の革新的性能向上は急務である。 SiCパワーデバイスのより高い動作温度と大きな熱応力に耐えうる、優れた機械的特性と熱伝導率を両立できる材料として、窒化ケイ素 (Si3N4) が注目されている。Si3N4は大きな熱伝導率異方性 (理論値でc軸方向に400W/ (m・K) 、a軸方向に180W/ (m・K) ) をもつ。 我々は、磁場を用いた配向プロセスにより、試料の厚さ方向にc軸配向した高熱伝導率Si3N4基板を開発した。さらに、「使われてこそ材料」という理念から、実用性の高い低磁場を利用する革新的プロセスの開発にも取り組んでいる。 本講演では、これらの内容について紹介する予定である。
(2016年6月20日 13:50〜15:10)
様々な半導体デバイスの性能向上において、半導体素子から発生する熱の放熱を以下に効率よく行うかが、重要な課題となっている。たとえば、電子デバイスの場合は放熱がプロセッサなどの速度を律しているし、最近、省エネ技術の要として注目されているパワーデバイスにおいては、大電力を扱うことから、その重要度がより一層高い。半導体素子からの放熱の改善においては、絶縁性基板、封止材、接着剤、グリースなどの熱伝導の向上が必要となる。 一般に、樹脂などの熱伝導率向上においては、比較的熱伝導率の高い材料をフィラーとして混合する手法が用いられる。窒化アルミニウム (AlN) は、高熱伝導性と高絶縁性を併せ持つ。そのためフィラー材として大きな期待が寄せられている。しかし、AlNフィラー材の作製コストが高いという問題があった。 我々は最近、比較的容易にAlNフィラーを作製できる手法を開発した。しかも、この方法により形成されるフィラーはウィスカー (ひげ結晶) 状のものであり、より一層の熱伝導率向上が期待できる。
(2016年6月20日 15:20〜16:40)
六方晶窒化ホウ素 (h-BN) は、グラファイトと似た構造を持ち、軽い元素であるBとNが六角形状に強い共有結合で結びついた六角網面層が弱いファンデルワールス結合で積層された構造を有している。このa軸方向に相当する六角網面層は、強い共有結合で結びついているため400W/mK程度の高熱伝導を有していると言われているが、弱いファンデルワールス結合で積層したc軸方向では2W/mK程度と報告されている。 本講演ではまず、熱伝導異方性のあるh-BNを用い、高熱伝導h-BN焼結体の可能性について報告するとともに、BNフィラーを添加した樹脂複合材料の熱伝導性の改善についても報告する予定である。