本セミナーは、蓄熱技術の基本である蓄熱材の種類とその具体的なシステムを紹介し、蓄熱機能を有する機能性熱流体の特徴などの最新の技術動向を分かり易く解説いたします。
地球大気の平均温度がこの1世紀にわたり、1℃以内の温度上昇に留まっているのは、地球表面の約7割が熱容量 (比熱) の大きな海洋に占められていることが大きく影響している。この意味では地球は大きな蓄熱体と言えよう。熱エネルギーの貯蔵は、古くから氷室や湯たんぽそして建物自体を蓄熱体などとして生活の場で大いに活用されてきた。我が国において蓄熱が技術として大々的に展開されたのは、1970年〜1980年代のオイルショック後に多様なエネルギー源として太陽熱などの自然エネルギーの熱的貯蔵技術で、顕熱・潜熱蓄熱技術開発が発達した。その後、1990年代に原子力発電に伴う余剰な深夜電力を活用した氷蓄熱技術の展開が電力会社主導で進展した。 近年の情報機器の普及による冷却熱需要や民生用温熱・冷熱需要の急増そして多様なエネルギー供給源のベストミックスに向けての調整さらに化石燃料利用による環境問題などを勘案した省エネルギーの立場から、蓄熱技術に対する期待が大きくなっている。特に、我が国の民生部門は、最終エネルギー消費の約3割を占め、その増加の顕著であることから、省エネルギー、創造エネルギー (再生可能エネルギー主体) そして蓄エネルギー (蓄電池や蓄熱) を主体とするエネルギーマネジメントシステムの推進が重要課題となっている。今年度から建築物省エネ法が施行されて、具体的なネット・ゼロ・エネルギー・ビル (ZEB) や住宅 (ZEH) の構築に欠かせない蓄熱技術に対しても新たな展開が期待されている。一方、運輸部門においても、環境規制や経済性の確立の上で、その変動性を有する排熱 (冷却熱、排ガス) の活用において、蓄熱技術の採用が重要視されている。さらに、産業部門においても、様々な産業排熱や未利用熱エネルギーの活用から、省エネルギーや創エネルギー機器開発に蓄熱技術の応用が進んでいる。 熱エネルギー有効利用技術としての蓄熱技術は、環境親和型省エネルギー技術に位置づけられる熱マネジメント技術と言える。 本講座では、蓄熱技術の基礎や蓄熱材料の紹介そして具体的な蓄熱システムの導入事例さらに採算性などを体系的に説明し、さらに今後の蓄熱技術開発の最新動向にも幅広く言及し、熱エネルギーマネジメント技術としての蓄熱技術の将来像を明らかにする。 本講座では、熱マネジメント技術としての蓄熱技術に焦点を当て、蓄熱技術の基本である蓄熱材料の種類とその具体的な蓄熱技術システムの紹介並びに蓄熱機能を有する機能性熱流体の特徴や利用などの最新の技術動向を分かり易く解説し、熱エネルギー有効利用に向けての熱マネジメント技術の習得を目的とします。さらに、蓄熱システムの経済性についても言及します。特に、専門知識が無くても、理解できるように講演内容を構成しております。
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