本セミナーでは、高分子材料に含まれる添加剤について基礎から解説し、定性・定量分析のポイントについて実例を交えて詳解いたします。
(2016年6月30日 12:30~14:30)
樹脂は成型時や製品として使用する際の劣化を抑制する安定剤、物性の改善や本来持たない特性を付与する機能性付与剤等の添加剤が必要とされる。これら添加剤の分析目的は以下の2点に大別され、品質管理や製品開発のうえで重要である。
他社品の場合はたとえ同種の樹脂であっても加工方法、用途によってメーカー毎に添加処方が異なるため、複数の機器分析を駆使した網羅的な分析が必要となり、当然難易度は高くなる。本講演では有機系添加剤を中心に樹脂中添加剤の分析手法について実例を交えて紹介する。
(2016年6月30日 14:40~16:30)
一般に、高分子材料中の添加剤分析には、予め溶媒抽出などにより、当該成分を基質から分離した後に各種計測法に供する方法が用いられている。しかし、この方法では、抽出分離に際して1) かなりの試料量と長時間にわたる煩雑な操作を必要とすること、および2) 対象物によっては目的成分が定量的に抽出されなかったり、それらの汚染や変性が起こったりすること、などが問題点として指摘されている。これに対して、熱脱着ガスクロマトグラフィー (熱脱着GC) やマトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法 (MALDI – MS) などの手法を利用して、様々な高分子材料中の添加剤成分の分析を、試料によっては抽出操作を伴わずに迅速かつ簡便に行うことが可能である。 本講座では、まず、熱脱着GCおよびMALDI – MSの測定原理や装置構成を解説し、次にこれらの方法を高分子材料中の添加剤成分の分析に応用した事例をいくつか紹介する。なお、ここで熱脱着GCについては、熱分解GCをベースとする方法論に注目して、その測定手順や応用例を解説する。さらに、両手法を総合的に活用して、樹脂中の光安定剤の詳細な構造キャラクタリゼーションを行った事例を紹介する。