第1部 硫化物系電解質の調製と全固体電池の構築
(2016年5月31日 10:30〜11:50)
リチウムイオン二次電池の信頼性・安全性を向上し、コンパクト化を可能にするためには、全固体化が必須であり、優れた固体電解質の開発が望まれている。 本セミナーでは、まず、固体中で高いイオン伝導性を実現するための材料開発指針を、その構造的特徴に基づいて解説する。つぎに固体電解質のイオン導電率、イオン輸率、電気化学的安定性、力学物性の評価方法を紹介する。さらに硫化物系固体電解質の導電率を高めるための取り組み、液相から硫化物系固体電解質ナノ粒子を合成する方法、電気泳動堆積法によって硫化物系固体電解質厚膜を作製する方法、全固体リチウムイオン二次電池の構築に関する研究成果を詳しく説明する。
- 固体電解質の構造・特徴
- 平均構造とα – ヨウ化銀
- 開放構造と超イオン伝導性ガラス
- 固体電解質の評価方法
- 固体電解質のイオン導電率測定
- 固体電解質の電気化学的安定性評価法
- 電解質/活物質界面抵抗評価法
- 電解質の力学物性評価
- 全固体リチウムイオン二次電池への適用
- リチウムイオン伝導体の種類
- 全固体リチウムイオン二次電池の基礎、開発動向
- 液相法による硫化物系固体電解質の調製
- 電気泳動堆積法による硫化物系固体電解質厚膜の作製
- 硫化物系全固体リチウムイオン二次電池の構築
- 今後の展望
第2部 酸化物系全固体電池における通電焼結法の適用
(2016年5月31日 12:40〜14:00)
リチウムイオン電池に用いられる有機電解液を酸化物系固体電解質に置き換えた全固体電池が実現できれば、安全性の飛躍的な向上が期待できます。そのためには、イオン伝導性を失わずに酸化物粉体を接合する焼結方法が必要になります。本講座では、通電焼結法によって作動する酸化物系バルク型全固体電池の実例から、本電池の課題と展望について考えます。
- 酸化物系バルク型全固体電池の開発動向
- 酸化物系バルク型全固体電池への期待
- 酸化物系バルク型全固体電池ならではの開発課題
- 課題解決に向けた最近の研究例
- 酸化物焼結体でのイオン伝導性
- 高リチウムイオン伝導性酸化物のイオン伝導性
- 炭酸リチウムのイオン伝導性
- 元素置換による組織制御とイオン伝導性
- 通電焼結法による組織制御とイオン伝導性
- 通電焼結法を用いた酸化物系バルク型全固体電池の作製
- 炭酸リチウム – ホウ酸リチウム系固体電解質を用いた固体電池
- その他の酸化物固体電解質を用いた適用例
- 通電焼結法の課題と今後の展望
第3部 バルク型全固体電池の開発と展望
(2016年5月31日 14:10〜15:30)
リチウムイオン電池の全固体化は、リチウムイオン電池において有機溶媒電解質の存在が引き起こすいくつかの問題点の 解決策となりうるものと期待されている。しかしながら、電池の全固体化は出力性能を低下させるなど、全固体電池にお いて実用的な性能を満足させることは困難であった。本講座では,全固体電池の特徴をはじめ、出力性能を向上させる界 面構造などについて解説する。
- 全固体電池開発の歴史
- 全固体電池の特徴
- リチウムイオン電池の課題と全固体化
- 全固体化の利点
- リチウムイオン伝導性固体電解質
- 全固体化における課題
- 正極/硫化物固体電解質界面
- ナノイオニクスに基づく高出力界面設計
- 計算科学からの界面へのアプローチ
- 高出力界面の構築
- 転動流動層を用いた表面被覆
- ナノシート
- 自己形成コア – シェル構造
- 全固体リチウム電池の性能向上
- 高エネルギー密度化への期待
- 高容量負極材料
第4部 無機固体電解質を用いた全固体電池の課題とその解決にむけた取り組み
(2016年5月31日 15:40〜17:00)
エコカーの普及に伴い、高エネルギー密度二次電池の重要性が高まっている。その安全性や信頼性を飛躍的に向上させる には、蓄電池の全固体化が有効であることが広く認識されている。ここでは、硫化物系や酸化物系の無機固体電解質を用 いた全固体二次電池に関する研究動向を概説し、その電池の課題と解決に向けたアプローチについて紹介する。特にその 高エネルギー密度化にむけた取り組みについて詳しく述べる。
- はじめに
- 全固体電池の研究動向
- 無機固体電解質材料の基礎
- 無機ガラスベース固体電解質を用いた全固体リチウム電池
- バルク型全固体電池の基本構成と課題
- 全固体リチウム二次電池における界面構築
- 体積エネルギー密度重視全固体リチウム電池
- 固体電解質コーティング
- 固体電解質の液相合成
- 重量エネルギー密度重視全固体リチウム電池
- 全固体リチウム – 硫黄電池
- 固体電解質の活物質化
- おわりに
- まとめと展望