(2016年5月20日 10:30〜12:00)
炭化ケイ素 (SiC) や窒化ガリウム (GaN) を材料とするワイドバンドギャップ (WBG) パワーデバイスは、シリコン (Si) パワーデバイスと比較して、高耐圧・高速・低オン抵抗・高温動作など優れた特性を持つことから、産業用、輸送・交通用、電力、家電民生、医用に渡る広範な分野にて電力変換装置への応用が活発に検討されています。高速スイッチング動作が可能となるに相反し、WBGパワーデバイスは、そのオン・オフ遷移時に電圧・電流変化率が増大し、それによる電磁ノイズの顕在化が新たな問題点となっています。その対策として、スイッチング損失を抑制しながら、同時にスイッチングノイズの低減を可能とする「ソフトスイッチング」回路技術が有用視されています。 本講演では、ソフトスイッチング技術と親和性の高い高周波インバータ応用電源システムに着目し、大学での最新研究成果として、SiCパワーデバイスを活用した誘導加熱 (IH) 用高周波インバータ・コンバータ、および電磁誘導方式非接触給電装置 (IPT) の評価結果を紹介します。さらに、ノーマリ・オフ型GaNパワートランジスタを利用したIPT応用ソフトスイッチング共振形コンバータの実証評価を紹介して、WBGパワーデバイス応用電力変換器の低ノイズ化に対するソフトスイッチング技術の有用性を解説します。
(2016年5月20日 12:45〜14:15)
近年、SiC、GaNデバイスを代表とする半導体素子の高性能化によるインバータ小型化が望まれますが、スイッチング周波数の高周波化によるEMI対策が課題です。本講座では、SiC適用によるEMIの課題に対し、EMI解析のためのモデリングについて高精度なデバイスモデルを用いた手法について説明し、雑音端子電圧の再現精度について解析結果と実測の比較を示します。また、SiCデバイスを用いたインバータに適したEMIフィルタの構成について提案し、提案方式による雑音端子電圧の抑制効果について実験結果を示します。
(2016年5月20日 14:30〜16:00)
本講座ではインバータやチョッパなどの電力変換器に用いられるパワーMOSFETの高速スイッチング手法とそれに伴って発生する電磁ノイズの抑制について、実際の研究事例をもとにわかりやすく解説します。特に、なぜ電力変換器の高周波化が有用なのか、高周波化によってどのような弊害がもたらされるのかについて述べた後、具体的な高周波化の手法としてインダクタインパルスを用いたゲート駆動のほか、スイッチングアシストという新しい概念によるスイッチングの高速化・高効率化手法について紹介します。 また、高速スイッチングに起因するノイズ電流を抑制するゲートドライブ絶縁電源についても言及します。