第1部 自動車火災の最近の傾向; 部材へのプラスチックの多用と難燃化
(2016年5月31日 10:00〜11:00)
最近の自動車は、燃費向上のため車両の軽量化が進められ、従来鉄で作られていた部材が急速にプラスチックに置き換わって来ている。一方で、内装の難燃規制なども行われるようになっている。これらの動きの中で、自動車火災の発生件数の推移、着火物の状況等の変化及びその理由ついて、火災統計データの分析をもとに解説する。
- 自動車火災は増えているのか減っているのか
- 日本の車両火災件数の推移 (1965年〜2013年)
- 日本の自動車1万台当り車両火災件数の推移 (1966年〜2013年)
- 消防庁火災報告データの分析
- 車両火災の着火物別火災件数
- 自動車本体が着火物になった火災の着火物別火災件数の推移
- 自動車100万台当たり着火物別火災件数の推移と規制との関係
- 自動車本体が着火物になった火災の100万台あたり着火物別火災件数の推移 (1995年〜2012年)
- 交通事故減少の影響
- 衝突に起因して発火した車両火災の交通事故1万件当たりの件数の推移
- 道路運送車両の保安基準に係る技術基準
- 道路運送車両の保安基準の細目を定める告示と内装材料の難燃性の技術基準
- 製造物責任法の影響
第2部 次世代自動車に求められる難燃材料の開発
(2016年5月31日 11:10〜12:10)
次世代自動車は環境・安全・快適性がキーワードであり、バッテリーやモーターなど高電圧・大電流のパワートレイン導入や電子制御部品の増加に伴う部品の軽量化・高密度化が進んでいる。 このようなアイテムに使用される樹脂は難燃性や電気特性など、これまで自動車用途で高いレベルで要求されてこなかった特性が求められるようになっている。本講演では、エンプラ専業メーカーとして当社が取り組んできた樹脂の難燃化技術及びそれを応用して開発した耐トラッキング難燃材料や難燃耐ヒートショック難燃材料などを紹介する。
- 次世代自動車への技術開発
- 環境に対応した次世代自動車の増加
- 次世代自動車開発への技術用件
- 樹脂の難燃化と課題
- 車両火災の出火原因
- 酸素インデックスからみる樹脂の難燃性
- 樹脂の燃焼メカニズムと難燃剤による難燃化
- 技術開発の事例紹介
- 耐トラッキング性と難燃性を両立したPBT材料
- 耐ヒートショック性と難燃性を両立したPBT材料
第3部 熱膨張断熱ゴムによる自動車の 断熱及び難燃性向上技術について
(2016年5月31日 13:00〜14:00)
電池で発生が予想される熱暴走を防止する手段として熱膨張断熱ゴムを開発。その内容自動車などへの応用について、ゴム材料からのみた視点を含めて報告する。
- はじめに
- 熱膨張断熱ゴムの使用例と特徴
- 断熱層を形成して熱暴走を防止
- 隙間を埋めて引火を防止
- 熱膨張断熱ゴムの特徴
- 熱膨張断熱ゴムの熱特性
- 温度と膨張率
- 温度と反力
- 熱膨張断熱ゴムの熱伝導性
- 熱膨張断熱ゴムの応用
- おわりに
第4部 (自動車用ケーブルにも共通する) 電線・ケーブルにおける燃焼試験、耐火・耐熱試験
(2016年5月31日 14:10〜15:10)
日本国内並びに欧米における電線・ケーブルの火災時の危険性を評価するための試験方法の概要並びに適用事例の紹介及びケーブル燃焼試験の技術動向を解説する。
- (自動車用ケーブルにも共通する) ケーブル燃焼・耐火試験の種類
- 難燃性試験
- 発煙性試
- 燃焼時発生ガス試験
- 耐火・耐熱試験
- (自動車用ケーブルにも共通する) ケーブルの耐熱性に関する試験の種類
- JISやJASOの関連試験項目について
- 直流大電流通電試験、他
- (鉄道などの) 車両用ケーブル燃焼試験の規格や適用事例ついて
- 日本国内の状況
- 米国の状況 (要求事項)
- 欧州の状況 (要求事項)
- 欧州建築資材規制
- ISO
- IEC
- 英国規格BS6853
- 欧州規格EN45545-2
- 他
第5部 自動車部材の各種燃焼性試験、難燃試験と新しい難燃性材料開発
(2016年5月31日 15:20〜16:20)
自動車部材を含めた各種燃焼試験方法やコーンカロリーメーターによる難燃性評価法を解説します。またナノカーボンによる新しい難燃性向上技術や難燃性ゴムの配合設計についても紹介します。
- 燃焼性試験、難燃試験の概要
- プラスチック材料の燃焼規格 UL-94試験
- FMVSS 302 (Federal Motor Vehicle Safety Standards) による自動車内装材の燃焼試験
- 各種公定法に基づく燃焼試験
- 発熱性試験 (コーンカロリメータ)
- 部材難燃性向上のための新しい取組み
- 表面改質多層カーボンナノチューブによるエチレン酢酸ビニル共重合体の難燃化
- 難燃性ゴムの配合設計
第6部 自動車用高分子材料の動向、難燃・防炎など 安全性について求められるもの
(2016年5月31日 16:30〜17:30)
車体軽量化技術の重要性、特に金属材料から高分子材料による置き換え技術への関心が一層高まっている。その一方で車両火災事故は燃料引火に加えて電気的火災も増加し、難燃性や防炎性などの自動車用材料の安全性に関するニーズも高まっている。これらについて自動車業界経験者の視点から解説する。
- 自動車を取り巻く環境とニーズの変化
- 樹脂活用による車体軽量化、CO2削減効果
- フロントエンドモジュール (素材と部品統合化)
- ドアモジュール (発泡による効果)
- CFRPプロペラシャフト (CFの活かし方)
- 吸気系モジュール (部品統合と溶着)
- 接着剤による軽量化 (スチールを樹脂で活かす)
- 自動車用高分子材料の安全性に関する要求特性
- 耐久性
- 耐振動性
- 耐候性
- 耐熱湿性
- 難燃性
- 防炎性
- 塩害
- 他
- 自動車用高分子材料の展望