乾燥操作は熱を与えて水分を蒸発させる点から相変化を伴う熱と物質の同時移動現象の典型例である。成型材料、粉粒状材料、ペースト状材料さらに液状材料ときわめて多種類の材料が乾燥の対象となるので、乾燥装置もまた多くの形式がある。乾燥操作の予備知識として湿り空気の諸性質、熱と物質の同時移動の典型例である湿球温度の概念、湿度図表を解説する。含水率、材料中での水分の保持状態を解説し、乾燥のメカニズムを考える。乾燥のメカニズムに基づいて乾燥速度の定量的な捕らえ方を講義し、乾燥時間を短くするコツを紹介する。
また、組成偏析、材料の変形やクラックの発生、材料の表面平滑性、残留溶媒の低減策に関して講述する。多種多様な材料を乾燥するために数多くの乾燥装置が開発されているが、装置選定、装置設計、省エネルギーのポイントを解説する。
さらに、塗布膜乾燥、乾燥過程でのフレーバー散失、酵素の熱安定性向上、超臨界乾燥あるいは凍結乾燥による乾燥収縮防止を取り上げ、製品品質に及ぼす乾燥操作の影響に関する基本的な考え方を解説する。講演の最後には乾燥操作のトラブルシューティングに関する質問を受け付ける。
- 乾燥の基礎
- 乾燥の予備知識
- 乾燥操作の量的関係を知ろう
- 空気の性質を知ろう
- 材料温度を知るヒント
- 乾燥中の空気の状態変化を知る武器
- 材料は水分をどれだけ含むか?
- 材料をどこまで乾燥できるか?
- 乾燥時間短縮のために
- 材料は水分をどのような状態で含むか?
- 乾燥の挙動を知る
- 乾燥特性曲線の概念
- 乾燥の3期間
- 限界含水率の重要性
- なぜ乾燥速度が一定なのか?
- 熱風の状態が変わればどうなるか?
- 乾燥速度はどのように減少するか?
- 乾燥時間を短くするコツ
- 乾燥のメカニズムと品質保持
- 組成のムラはなぜ生じるか?
- 剥離、クラック、変形はなぜ生じるか?
- 表面平滑性を保つには?
- 残留溶媒を効率よく低減したい
- 乾燥装置の選定と設計
- 装置の選定
- 乾燥装置の特徴を知る
- 乾燥装置の分類
- 乾燥装置の特徴
- 熱風と材料の接触方式
- 乾燥装置をどう選ぶ?
- 装置の設計
- 装置容積を見積るには?
- 乾燥装置を設計するには?
- 省エネルギーは?
- 乾燥操作と製品品質
- 粒子塗布膜乾燥
- 粒子分散系塗布膜乾燥の特徴を知ろう
- 表面平滑性を保つコツ
- どのような乾燥方法が良いか?
- 乾燥過程におけるフレーバーの保持
- なぜ乾燥過程でフレーバーが保持?
- 噴霧乾燥過程でフレーバー散失を防ぎたい
- 凍結乾燥過程でフレーバー散失を防ぎたい
- 糖類のアモルファス構造を利用した酵素の熱安定性の向上
- 酵素の熱安定性を向上させたい
- 糖の種類をどう選ぶか
- 超臨界乾燥と凍結乾燥を利用した多孔性カーボンの作製
- どのようにゲルの収縮を防ぐか?
- カーボンの多孔構造を制御するコツ
- 乾燥操作のトラブルシューティング・質疑応答