粒子の分散安定化は各分野で、単位技術として材料設計の鍵の一つである。無機粒子・金属酸化物・窒化物・金属や有機顔料、カーボン系粒子、ナノファイバー・グラフェン、セルロースナノファイバーなど、その構造も表面特性もそれぞれ異なる粒子が用いられる。粒子と組み合わせる材料も、水系・NMP系・溶剤系や、バインダー樹脂も様々である。用途も、電池や3Dプリンティング、コーテイングなど多様である。
上記多様性に対して、できる限り統一的・基本的な見方を提示することで、分散へのアプローチを容易なものとしたい。コーティング分野での事例を多く取り上げ、分散設計のガイドとする。液状に加え、固体材料中での分散安定化も紹介する。分散剤の構造とその選定方法の理解を深めていただきたい。あわせてコーティング液を塗布する際の実際的な問題 (濡れ 性・沈降・泡・平滑性など) についても、その解決策を紹介する。化学構造が得意でない方にも理解いただけるよう、添加剤の構造も示すつもりである。
- どのようにして分散安定化を図るか:粒子とマトリクスと分散剤の三つの関係
- 分散が悪いとされるが、問題は沈降?粘度?透明性?粒度分布?色?導電性?膜特性?
- どのようにして分散をするのか?溶媒のみ?バインダーも入る?
- そもそもどのような性質の粒子か?有機顔料、金属酸化物、金属、カーボン系
- 基本の確認:どうして分散剤で分散・安定化が図られるのか、そのメカニズム
- 粒子との相互作用、まずは吸着すること
- 周りにも気を使うこと、バインダー・溶媒との相互作用
- 忘れてならないのは最終製品の姿、使われ方、特性への影響
- では具体的にどのような分散剤があるのか:その構造と特徴
- 比較的小さな分子の分散剤、直鎖状ポリマー
- 分岐した構造の分散剤、いわゆるくし形構造
- ABブロックの分散剤
- 超分岐タイプの分散剤
- 水系、溶剤系、UV系向けそれぞれの分散剤
- 固体の分散剤
- 事例にみる着目点:最終製品によって求められる特性は異なる
- カーボン系粒子の分散例
- CNTの分散例
- シリカ、アルミナの分散例
- インクジェットでの分散例
- ポリオレフィン系でのセルロース系フィラー、ガラス系フィラーの分散
- LiB電極材での分散と電池特性
- 分散液をきちんと塗布したい:消泡剤、濡れ剤、レべリング剤の選択
- 泡をなくしたい、水系では消泡剤は必須
- 基材に濡らしたい、薄膜では特に問題が多い、水系では深刻
- 塗布した時はよいが乾燥過程で平滑性が損なわれる
- 表面張力が関与するのはわかるが、どのようにして調整するか
- 粘性制御は貯蔵安定性・塗布性に大きく影響
- 分散体による粘性
- 添加するだけで粘性をコントロールするレオロジーコントロール剤
- レオロジーコントロール剤、有機系・無機系どのタイプを選択するか
- 粘弾性・レオロジーの簡単な基礎
- どんな粘性がこのましい
- 表面張力も塗布・乾燥プロセスで重要
- 液の表面張力
- 固体・フィルムの表面自由エネルギー
- 表面張力を上げる添加剤
- 表面張力を下げる添加剤