近年、新しい熱硬化性樹脂として、ベンゾオキサジン系樹脂 (以下BXZ) の開発が進められている。ベンゾオキサジン樹脂は、熱により開環重合が進行し、架橋構造中に、フェノール性水酸基と三級アミノ基を有するネットワークポリマーである。しかしながら、ベンゾオキサジン樹脂単独では、高耐熱材料であるが、可とう性に劣る材料であることが明らかとなっている。 本講座では、BXZの合成方法、様々な一次構造とその熱的特性、機械的特性等の関係、スペーサーと開環重合性の関係等を中心に解説する。BXZとポリイミド (以下PI) との複合材料は、様々な組成でのアロイ化が可能で、強靭な複合フィルム材料となる。その他のBXZ系ポリマーアロイ系材料技術についても紹介し、これらの複合材料技術における組成と熱機械的特性の相関関係等についても解説する。また、最近報告され、フィルム化が可能な材料として注目されているオリゴマー系ベンゾオキサジン樹脂の合成方法、基本的特性についても紹介する。 また、“ベンゾオキサジン系樹脂“系新規材料の研究動向、また、公開特許からみたベンゾオキサジン系材料の実用化へ向けた応用技術開発等の動向についても紹介する。その他、本セミナーでは、フィルム材料として知られているポリイミド技術およびポリヒドロキシエーテル系ポリマー技術についても紹介するとともに、芳香族系ポリヒドロキシエーテル類 (PHE) はガスバリア性に優れた材料で、これらの複合材料はフィルム化可能で、耐熱性、防湿性に優れた新規な耐熱性ポリマーアロイとなる。これらのポリマーとポリイミドの複合材料についても紹介する。