我々人類が「持続可能な社会」を構築するためには、再生可能エネルギーの利用が不可欠であり、無尽蔵の太陽光エネルギーを高効率に電気や燃料に変換する「太陽光エネルギー変換」における技術革新が強く望まれています。太陽エネルギーを「水素」などの「化学エネルギー」へと変換する広義の「人工光合成」研究においては、半導体光触媒を用いた水の分解や、金属錯体等による二酸化炭素の還元固定化などにおいて、近年いくつものブレークスルーがなされ、実用化への期待が高まりつつあります。さらに天然の「光合成」の研究においても、長年明らかにされていなかった、酸素生成系マンガンクラスターの精密構造が解析されるなど、画期的な研究成果が報告され、人工光合成実現の1つの大きな足がかりになると期待されています。
本講座では、半導体光触媒を用いた水の分解による水素製造研究を中心に、人工光合成の基礎から、研究の歴史、最新の研究成果、そして今後の展望まで、分かり易く解説します。
- はじめに
- 光合成そして人工光合成とは?
- 人工光合成 (太陽光エネルギー変換)
- 人工光合成研究の歴史
- 二酸化炭素の還元固定化
- 水の光分解による水素製造
- 半導体光触媒を用いた太陽光水素製造技術
- 研究背景および歴史
- 研究の始まりと歴史
- 実用化への課題と解決への取り組み
- 光合成研究との関連性
- 半導体光触媒を用いた水分解
- 半導体のバンドギャップと光の波長の関係
- 半導体のバンドエネルギーと化学反応の関係
- なぜ可視光を用いた水分解が必須かつ困難なのか?
- 可視光応答型半導体光触媒を用いた可視光水分解
- 植物の光合成を模倣した二段階励起型可視光水分解
- 二段階励起型水分解の仕組み
- 二段階励起のメリットとデメリット
- ヨウ素酸・ヨウ化物イオンを用いた水分解
- 長波長利用のための半導体材料開発と応用
- 水素と酸素の分離生成
- 他の二段階励起型水分解の研究例
- バンドエンジニアリングに基づく可視光水分解の実証
- 可視光水分解を達成するための材料開発
- 酸窒化物系固溶体による可視光水分解
- ドープ型酸化物による可視光水分解
- 各種半導体光電極を用いた可視光水分解
- 酸化物半導体の多孔質電極化と水分解への応用
- 非酸化物系半導体電極の開発
- 酸窒化物系電極を用いた高効率可視光水分解
- 半導体を用いた水分解の実験方法および評価における注意点
- 半導体光触媒・電極による水分解の現状・課題・今後の展望
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