微粒子やナノ粒子からなる濃厚分散系、すなわちスラリーやペーストをシートやバルク状の成形体に形成する工程は、近年、エレクトロニクス分野やエネルギー材料分野などの先端材料に関係する幅広い分野において活用されている。例えば、プリンテッドエレクトロニクス分野では、ITOナノ粒子や銀ナノ粒子のインクやペースト状の分散液が良く用いられるが、それら粒子に対して、超微粒子化と高分散安定性を兼ね備えることが必要とされている。
一般に、「粒子の分散性」という言葉には、大別して 1) 微粒子化の程度と 2) 分散安定性、の二つの意味が含まれているため、評価を行う際にも誤解を生じる場合が少なくない。したがって、評価を行う際には、 1) 分散性=微粒子化の程度を評価する必要があるのか、 2) 分散安定性=分散状態の経時変化速度を評価する必要があるのか、を意識して区別しておく必要がある。
本講では、この二つの評価項目について、微粒子やナノ粒子からなる高濃度分散系における評価の重要性ならびに種々の評価手法を紹介する。とくに濃厚系の「分散」でお困りの技術者にご聴講をお勧め致します。
- 第1部 濃厚分散系の分散・凝集評価の基礎とその実際 – 分散性評価を中心に -
- 濃厚分散系の分散・凝集評価の基礎
- 濃厚系の特徴と評価に対する注意点
- 分散性と分散安定性の定義とは? – 実用系で観察される現象とそれへの対策 -
- 分散性とその新しいパラメータHDP (Hansen Dispersibility Parameter)
- 分散安定性とその安定化機構 – 何を評価すればよいか?予測は可能か? -
- 分散性・分散安定性評価法概論 – 濃厚系のまま希釈せずに評価する最新手法 -
- 分散性評価法 – その1:超音波スペクトロスコピーによる評価 -
- 超音波スペクトロスコピーによる評価概論 (濃厚系で使える唯一の粒度分布評価法)
- 超音波スペクトロスコピーの原理
- 超音波スペクトロスコピーを用いた分散性 (微粒子化過程) 評価と分散状態
- 濃厚分散系の粒度分布評価方法とその実用例の紹介
- 分散性評価法 – その2:自然沈降分析法ならびに遠心沈降分析法による評価 -
- 沈降分析法による粒子径分布評価 I (微粒子化の程度を高分解能の粒子径分布で見る!)
- 沈降分析法による粒子径分布評価 II (微粒子化のし易さの程度を粒子表面の濡れ性 (HDP) で見る!)
- 自然沈降分析法と遠心沈降分析法の原理
- 自然沈降分析法と遠心沈降分析法を用いた分散性評価の実例紹介
- 分散性評価法 – その3:パルスNMRによる評価 -
- パルスNMR法による界面特性評価と分散性との関係
- パルスNMR法の原理 – NMRで何を測って、何が分かるの? -
- パルスNMR法による分散性評価の実例紹介 – 超高感度な評価 -
- 第2部 濃厚分散系の分散安定性評価の基礎とその実際
- 分散安定化機構と濃厚系に適用可能な分散安定性評価法
- 分散安定化機構とDLVO理論
- 濃厚系の特徴と濃厚系に適用可能な分散安定性評価法概論
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