第1部:コーティング膜における表面調整剤の機能とその効果
(2016年4月14日 10:30〜12:00)
コーティング膜は近年益々薄膜化されるが、その平滑性や外観性、高機能化など要求レベルは一段と高度化している。
欠陥現象の防止や高機能化においては表面張力や界面張力の制御がキーポイントになるが、表面調整剤を使いこなすことによって高機能で高外観の美しいFilmを作ることが可能となる。本講座では、添加剤を上手に使うための技術を紹介する。
- 添加剤の種類
- 塗布方法
- 欠陥現象
- 表面調整剤の種類
- レべリング剤
- 消泡剤
- 塗膜における添加剤
- 表面調整剤の機能と効果
- 添加剤の選択方法
- 溶解パラメーターと添加剤
- 実測から求める方法
- 計算から求める方法
第2部:表面・界面張力の発生メカニズムと測定
(2016年4月14日 12:50〜14:20)
表面・界面張力は何故生じ、どのように測ればよいのか?表面・界面張力が関わる身近な現象にはどのようなものがあるのか?などについて概説します。
いかなる物質も表面・界面があるので、その性質を知らずしてマテリアルデザインはできません。基礎から表面・界面科学を理解することで、例えば、ある液体がある固体を濡らすか濡らさないかはどのようにして決まるのか?なぜ過飽和や過冷却といった熱力学的準安定状態が発生するのか?などといったことが理解できるようになり、マテリアルデザインにおいて非常に有効であるはずです。
- 表面・界面張力とは?
- 表面・界面張力は、なぜ発生する?
- 表面・界面張力の2つの意味 (単位長さを引っ張る力 (N/m) と単位面積当たりのエネルギー (J/m2) )
- 表面・界面張力の測定方法
- 水に界面活性剤を溶解させると、なぜ表面・界面張力は低下する?
- 界面活性剤の表面・界面張力低下能について、時々見受けられるウソの説明
- 表面・界面張力が関わる現象
- ある液体がある固体を濡らすか濡らさないかは、どのようにして決まる?
- 液体の固体表面上における接触角 (固体表面が平滑な場合と平滑でない場合)
- 表面・界面張力によりもたらされるラプラス圧
- ラプラス圧によりもたらされる化学ポテンシャルの形態依存性
- 過飽和や過冷却といった熱力学的準安定状態は、なぜ発生する?
第3部:コーティング膜における付着性の向上と内部応力の影響・対策
(2016年4月14日 14:30〜16:00)
コーティング材料は流動状態で被塗物を覆い、付着、固化します。仕上がりに至るまでの被膜 (塗膜) 形成過程で起きる変化を知ること、固着後の被膜の性能を知ることは品質を保証するために不可欠です。とりわけ、付着性はコーティング膜の必要条件となる大切な性能ですが、真の付着力を解明したり、測定することは困難を極めています。
本講座では、付着性に及ぼす被塗物、材料要因を取り上げ、付着力にとって負の因子である内部応力に言及します。
- コーティング膜 (塗膜) の強さの見方と評価
- 粘弾性入門
- 粘性と弾性の違い
- 作用時間とがんばり時間
- 時間 – 温度の換算則
- 膜性能の物理的な強さの評価と結果の見方 ~耐衝撃性に強い被膜設計~
- 付着性の理論と付着強さの評価・試験法
- 分子間力 – 水素結合力、ファン・デル・ワールス力
- 吸着説
- 拡散説
- 実用の付着強さと評価法
- 内部応力のはなし
- 内部応力の発生機構
- 身近な現象と内部応力の有効利用
- 結晶性ポリマーの場合
- 非晶性ポリマーの場合
- 内部応力の測定法
- 応力受容媒体法 (バイメタル法)
- FSB (Free Film Stretch Back) 法
- 内部応力と塗膜のTg
- 付着性に及ぼす内部応力
- 付着性と内部応力が関与する欠陥事例とその対策
- 水道鋼管PE内面コートのはく離事件
- セラミックコンデンサーの低温特性の劣化
- 塗装系の選択ミス