かゆみの最新メカニズムと難治性掻痒症に対する治療薬

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プログラム

第1部. 臨床医の立場から見た透析患者のかゆみケアと使用薬剤

(2016年4月19日 10:30〜12:00)

 透析皮膚掻痒症は、患者にとって不愉快な症状であるばかりか、生命予後にも関連する重大な合併症である。現在、適正透析の実施、皮膚の清浄化、保湿、新規掻痒治療薬の登場など変化が見られている。腎不全の病態から、皮膚掻痒症の基本的な病態、治療について、今後期待される取り組みなどについて概説する。

  1. 正常な腎臓の役割について
    1. 腎機能の評価方法
    2. 腎臓の機能
  2. 慢性腎臓病について
    1. 心血管病の危険因子としての慢性腎臓病
    2. 慢性腎不全の病態
    3. 腎代替療法の紹介
  3. 新潟県内で行われた透析皮膚掻痒症の大規模疫学調査の結果について
  4. 透析皮膚掻痒症の治療
    1. 一般的な対策
    2. 新規治療薬 (レミッチ) について
  5. 透析皮膚掻痒症克服に向けた透析医療の工夫
  6. 透析皮膚掻痒症に対する新たな治療薬探求への取り組み
  7. DOPPS (多国間の透析患者での透析皮膚掻痒症の実態について)

第2部. 難治性掻痒症治療薬の研究開発と痒み伝達機構の解明

(2016年4月19日 13:00〜15:00)

 最近まで難治性掻痒症に対する薬物がなく、腎透析、肝炎の患者は夜も眠れない重篤な痒みに悩まされてきた。さらに、有効な薬物がないため、病気と認められず、患者、家族は我慢を強いられてきた。しかし、2009年にオピオイドκ作動薬、ナルフラフィン (商品名:レミッチカルセル) が腎透析の患者の重篤な痒みを適用として発売され、有効率80%と驚異的な効果が得られたのを契機に痒みは治療すべき対象として認められ、腎透析の患者は痒みから解放されつつある。さらに、2015年には肝炎の痒みにも適用拡大がなされ、痒みに対する作用機序の解明も加速されている。 本講演会では、オピオイドから薬物依存性を分離した手法、痒みを対象とした開発のきっかけ、薬理作用、臨床効果、市販後調査の結果を報告する。さらに、最近、この薬物を利用して痒みの基本的メカニズム、「痒いと引っ掻く」行動の解明も、痒みに関与するニューロンの発見で達成された。さらに他社のκ作動薬が不可避であった薬物嫌悪作用をナルフラフィンのみが分離している理由を我々の研究を通して解明しつつあり、そのトピックも本講演で報告する。

  1. ナルフラフィンの設計・合成
    1. オピオイドの歴史
    2. オピオイドタイプ選択的拮抗薬の設計・合成
    3. アクセサリー部位の概念とκオピオイド作動薬の設計
    4. ナルフラフィンの創出
  2. ナルフラフィンの薬理作用
    1. 鎮痛作用
    2. 薬物依存性の評価方法
    3. 止痒作用
  3. ナルフラフィンの臨床試験
    1. オープン試験結果
    2. 二重盲験試験結果
    3. 安全性試験結果
    4. 市販後調査結果
  4. 痒み伝達機構の解明
    1. 内因性オピオイドと痒みの関係
    2. 新規ニューロン、B5 – Iニューロンの発見
    3. 痒いと引っ掻く行動の解明
  5. ナルフラフィンが薬物嫌悪作用を分離した機序の解明

第3部. がん患者の訴えるかゆみとその治療法

(2016年4月19日 15:15〜16:45)

 がん患者の訴えるかゆみ (そう痒症) は、①がんに関係するもの (がんの浸潤、腫瘍随伴症候群としての症状) ②合併症に関係するもの (腎障害、肝機能障害) ③がん治療に関係するもの (皮膚障害、過敏症、その他) に分類される。具体例を示しながらその治療法を説明する。

  1. がんの症状とかゆみ
  2. がん患者のかゆみ (そう痒症) の分類
    1. がんに関係するもの
      • がんの浸潤
      • 腫瘍随伴症候群
    2. 合併症に関係するもの
    3. がん治療に関係するもの
      • がん治療の副作用としての皮膚障害
      • 過敏症
      • その他
  3. がん患者のかゆみの治療
    1. がん治療
    2. 皮膚障害の副作用対策

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