近年、コーティング膜の塗布・乾燥プロセスは、処理能力の高さ、低コスト性などの観点から、主要な製造技術として用いられている。プロセスの高品位化および高速化は、生産効率の向上やコスト削減には不可欠な課題である。
本講座では、表面エネルギー等の塗布乾燥の基礎に基づき、プロセスの本質を理解することで高品位化・高速化を考察することを目的とし、乾燥ムラなどの塗布乾燥におけるトラブルを解決する能力を養う。また、研究開発・トラブルフォローといった実務上での取り組み方について、豊富な実例を交えて解説する。また、セミナーで紹介するデータの殆どは講師の研究室で取得したものであり、データの取得方法や解析ノウハウを含めて紹介する。本講座を通じて、初心者にも分かりやすく、基礎から学んでいただけます。また、受講者が抱えている日々のトラブル相談にも応じます。
- 塗布膜形成の基礎
(塗工液から膜形成まで)
- 塗工液から塗布膜へ
- 液体から固体 (膜) への変化
- 混合と溶解
- 粘性
- 表面張力
- 動的挙動
- 塗布膜の乾燥
- 膜の品質決定
- 濃度差拡散
- ラプラス力
- 蒸気圧
- 凝集単位
- 各種コーティングの原理とコントロール (現象と装置機構)
- ロールコーティングの基礎
- ダイ・コンマ・マイクログラビアコーティング
- スピン、スリット、ディップ、スプレー、インクジェット、ナノ粒子ペースト
- ソルダーペースト、光造形 (3Dプリンタ)
- 塗工液の濡れ制御 (濡れの不確定要素を見極める)
- 表面エネルギーと濡れ性 (Herringの式)
- Youngの式により濡れ現象を理解する (濡れから塗布へ)
- 表面エネルギーの使い方 (エネルギーで塗布現象を表す)
- 接触角を理解する (動的濡れ性、拭き取り)
- ウェットプロセスの評価手法をマスターする
- パターン配置による濡れ (ピンニング効果を抑える)
- 基板材質の差による濡れ (Cassieの式を使いこなす)
- 基板の凹凸による濡れ (Wenzelの式を使いこなす)
- 時間変化による濡れ (初期濡れを決定する)
- 表面処理と濡れ性 (疎水化と親水化処理)
- 塗膜の乾燥メカニズムと高品質化 (乾燥のツボを抑える)
- 濃度差拡散 (塗膜内の溶剤移動を支配する)
- 蒸気圧 (乾燥を促進する環境設定)
- ラプラス力制御 (塗膜の凝集性の発現)
- 乾燥装置の最適化の要因
- 加熱乾燥、赤外線乾燥
- 減圧乾燥による膜質改善 (膜内応力の緩和)
- 凍結乾燥 (微粉末の作製方法)
- 超臨界乾燥 (微細構造の乾燥方法)
- スピン乾燥の膜質制御 (ナノクラスの膜内均一性)
- 残留溶剤の分析・管理と取扱い (完全乾燥と評価法)
- トラブル対策 (要因分析から対策まで)
- ピンホールの抑制方法
- 表面硬化層の形成過程 (塗膜内の硬化分布)
- 乾燥ムラの発生メカニズム
- 膜剥離の防止法 (ポップアップ・ガス発生)
- 膜クラックの抑制
- 膜クレイズの発生メカニズム
- フラクタル粘性指状 (VF) 変形とは
- ウォーターマーク・乾燥痕の形成 (対流とピンニング効果)
- フィルム剥離機構と残渣発生 (自己応力発生機構)
- アンダーフィル (ギャップ内充填技術)
- スクリーン印刷膜の剥離不良 (活性化処理)
- 燃料電池MEA膜の耐久性構造 (膜膨潤対策)
- コーティングプロセスの管理計測方法
- 光散乱法によるフィルムエッジ検出 (膜剥離残り対策)
- 光弾性散乱法による膜内応力集中解析 (ポラリスコープ)
- 光干渉法による薄膜の膨潤浸透評価 (屈折率分散)
- フィルム表面の帯電制御と評価 (帯電メータ、ゼータ電位)
- 膜厚および表面粗さ測定 (表面粗さ計、光学測定、エリプソメータ)
- 膜構造解析 (X線回折、XPS,FT-IR、X線CTなど)
- 薄膜の付着性測定 (スクラッチング法、引張り試験法、DPAT法)
- 膜応力および凝集力測定 (ひずみゲージ、インデント法、屈折率法)
- 塗膜の品質保証 (劣化、加速試験、寿命評価)
- 膜の劣化要因と活性化エネルギー
- 不良率 (バスタブ曲線)
- データの統計的管理法 (標準偏差、相関係数、判定)
- 塗膜の品質保証 (ワイブル分布、加速試験、寿命評価)
- 質疑応答
- 日頃の疑問・トラブル・解析・技術開発相談に応じます