近年、信号解析の新しい手法として「独立成分分析 (ICA) 」が注目されている。独立成分分析は信号の統計的独立性という性質のみを用いて、従来の多変量解析 (主成分分析、因子分析等) では成し得なかった複雑な混合データの分離再生を実現可能にするものである。
本セミナーでは、確率・統計に基礎から説き起こし、独立成分分析の背後にある数理のポイントをわかりやすく説明する。また、いくつかの代表的なアルゴリズムを紹介して、それらの原理を解説する。さらに具体的な解析事例とデモンストレーションを通じて本手法の有効性を示す。本セミナーを通じて、今まで難解と感じられた独立成分分析が身近で「使える道具」であることが実感できるであろう。
- 独立成分分析の概要
- 聖徳太子の信号解析 (独立成分分析とはどのようなものか。背景と歴史)
- いくつかの解析事例 (音声混合信号、画像混合信号の分離事例)
- 問題の設定と定式化 (数学的には何をしようとしているのか?)
- 数理的基礎
- 確率・統計の基礎 (独立成分分析に用いられる確率・統計)
- 平均、分散、統計量
- 結合分布、周辺分布
- 正規分布とその特徴、中心極限定理
- 相関と統計的独立性
- 相互情報量とエントロピー
- カルバック情報量
- 独立成分分析 (ICA) の原理とアルゴリズム
- ICAの定式化
- 独立性の測り方
- 分布を用いる場合
- 分布を用いない場合
- 勾配法によるアルゴリズム
- 不動点法によるアルゴリズム
- ヤコビ法によるアルゴリズム
- いくつかの実装方法 (評価法、学習法による分類)
- フリーソフトとMATLABによる実演
- インターネット上にある有用な資料とその概説
- インターネット上にある有用なフリーソフトとその使用方法
- フリーソフトによる講師による実演 (混合画像、混合音声、混合時系列データなどの分離・再生)