1. コアシェル型酸化セリウム/ポリマーハイブリッドナノ粒子の開発と樹脂フィルムへの応用
(2016年4月13日 11:00〜12:30)
水やアルコール対して分散しやすいという特長を有する、粒径の揃った球状のコアシェル型ハイブリッドナノ粒子 (コアが酸化セリウム、シェルがポリマー) の開発経緯や特徴などについて概説する。特に、ナノ粒子合成時の各種パラメータと粒子の物性の関係について詳細に説明し、ナノ粒子生成メカニズムについて紹介する。また、高分散性を活かして樹脂フィルムへフィラーとしてナノ粒子を分散させ、その樹脂フィルムの高い透明性や屈折率の上昇について紹介する。
無機ナノ粒子の合成法の1つであるポリオール法について詳細に紹介。また、酸化セリウムの特徴も概説予定。その他、ナノ粒子の分散性に関与するパラメータ等についても概説予定。
- はじめに
- ナノ粒子開発の経緯
- コアシェル型ナノ粒子の特徴
- 合成方法
- 微細構造
- コアシェル型ナノ粒子の合成方法の詳細
- 合成温度
- 添加高分子濃度
- 添加高分子の分子量
- 合成時間
- 生成メカニズム
- コアシェル型ナノ粒子含有樹脂フィルム
- 作製方法
- 粒径と透明性の関係
- 屈折率
- まとめと課題
2. かご型シルセスキオキサン (POSS) による 分子フィラーの設計指針と樹脂の屈折率制御
(2016年4月13日 13:15〜14:45)
シリカの立方体構造を有するPOSSを高分子に導入することで、熱安定性の増強等、様々な機能を付与できる。今回、樹脂材料の高・低屈折率化のための分子フィラーについて、POSSを用いた研究について概説する。特に、それぞれ高・低屈折率化において相反し易い他の物性パラメータとの両立について、フィラーの分子設計指針を説明する。また、置換基により作成法が異なる修飾POSSの合成についても詳述する。
- POSSの合成および同定法
- 八置換アルキル・アミノPOSSの合成
- 同定法
- 樹脂の剛直性・耐熱性向上のための分子フィラーへの応用
- これまでの研究紹介~ハイブリッド化との比較
- 高分子の耐熱・機械的特性向上
- PS、PMMAの熱的・機械的特性の変化
- DSC、TGA、動的粘弾性による測定
- 応用:高分子の屈折率制御
- 樹脂の低屈折率化と機械的特性の両立
- 低屈折率高分子の背景
- 低屈折率材料の課題
- POSSによる樹脂の耐熱性・機械的特性向上
- 低屈折率化のためのPOSSフィラー開発
- 低屈折率化と機械的特性向上の両立のためのフィラー設計
- 樹脂の高屈折率化と安定性向上
- 高屈折材料の産業的意義
- 高屈折率を示す高分子
- 硫黄含有高分子複合材料
- 高屈折率材料開発における課題
- 高屈折率・高アッベ数のための理論的背景
- 硫黄含有有機 – 無機ハイブリッドの開発
3. ナノ粒子分散化技術を用いた 光学樹脂の高屈折率化
(2016年4月13日 15:00〜16:30)
有機高分子と無機物とでは相溶性が低く、分子レベルで分散することは極めて困難であった。演者らは、有機高分子にシランカップリング処理を施すことで、混和が飛躍的に改善されることを見出した。得られた材料は、高分子でもなく無機物でもないユニークな特性を有する。
今回は、紫外線遮蔽能を持ち屈折率の高いチタニアを用いて、樹脂へのナノ分散化とその光学的性質について紹介する。
- 高分子樹脂の光学的性質
- 研究背景として – 高分子樹脂の光学的性質 -
- 材料の高屈折率化を図るためには – 屈折率制御・色収差制御 -
- 有機・無機ハイブリッド材料とは
- ハイブリッドの利点
- ハイブリッドの調製方法 – 総論として -
- ゾル – ゲル法によるハイブリッドの調製
- ゾル – ゲル法の利点
- ゾル – ゲル法による複合化方法
- 有機高分子/チタニアナノハイブリッド材料の創製
- チタニアナノハイブリッドの光学的性質 – 紫外線遮蔽能・屈折率制御 -
- ハイブリッドの微細構造
- 本講のまとめ