金属疲労はマスコミでも取り上げられ社会的にも大きな問題となっています。しかしながら、疲労破壊を設計段階で予測し安全を担保することは未だに大変難しい課題です。これは疲労強度設計には部品知識以外に材料や材料強度に関する幅広い知識や経験を必要とするからです。
そこで、本セミナーでは疲労強度の基本知識に加え、鉄鋼材料を中心とする材料強度の基本知識、疲労強度の向上方法、環境因子の影響、疲労き裂進展解析、さらに非破壊検査法、等の幅広い範囲を実データも交えながら、わかり易く解説します。また、今後の水素社会構築に向けて関心が高まっている材料中の微量水素と疲労強度の関係 (水素脆化) についても最近の研究成果を踏まえ解説します。
- 導入
- 金属疲労とは?
- 製品・構造物の破壊形態
- 疲労破壊事故事例紹介
- 疲労強度が必要な部品例紹介 (自動車部品、ボルト、他)
- 何故、鉄系材料は強度が高いのか? (代表的金属の強度とその材質的要因)
- 結晶構造と強度
- 金属結合について
- 結晶構造と結晶のすべり面 (BCCとFCC)
- 純金属 (完全結晶) の理論せん断強度と実測値との乖離
- 結晶の欠陥 (転位、結晶粒界) と強度、拡散
- 金属の基本的な強度向上方法 (転位を動きにくくする方法)
- 固溶体硬化
- 結晶粒微細化
- 析出硬化
- 加工硬化
- 変態硬化
- 材料強度評価方法および応力
- 金属組織観察
- 引張試験
- 応力とは?
- 硬さ測定
- 破面観察
- 疲労強度
- 疲労試験方法
- 疲労強度の表し方と疲労限度および統計的疲労限度の求め方
- 鉄系材料に疲労限度が存在する理由、ギガサイクル疲労
- 低サイクル疲労と高サイクル疲労について
- 金属疲労のメカニズム (金属のミクロなすべり)
- 疲労強度への形状因子の影響
- 表面粗さ
- 応力集中
- 応力勾配
- 寸法効果
- 切欠き係数 (疲労限度減少係数)
- 疲労き裂の停留 (き裂閉口) と疲労限度
- 疲労限度線図 (平均応力が疲労限度へ及ぼす影響)
- 実働応力の扱い方
- 疲労き裂成長の破壊力学的扱い
- 接触応力による疲労について (歯車、軸受など)
- き裂 (欠陥) の非破壊検査方法
- 疲労強度向上方法と環境因子の影響
- 疲労強度に及ぼす材料因子の影響
- 硬さ
- 介在物 – √area法紹介
- 他 (鋳物、溶接)
- 表面硬化処理による疲労強度向上とそのメカニズム
- 浸炭焼入れ
- 高周波焼入れ
- 軟窒化
- ショットピーニング
- ロール加工
- 残留応力の効果
- 疲労強度に及ぼす環境因子の影響 (鉄系材料)
- 疲労強度に及ぼす水素の影響 (鉄系材料、講師の研究結果より)