リチウム硫黄電池における正極材料の作製と劣化対策

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本セミナーでは、リチウム硫黄電池について基礎から解説し、硫黄の溶出、導電剤との複合化、イオン伝導機構の解明など、実用化の障壁と解決のアプローチについて詳解いたします。

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開催予定

プログラム

第1部 新型リチウム二次電池のための硫黄系電極材料の最新動向と実用化への課題

(2016年4月7日 10:30〜12:00)

 リチウム二次電池は、モバイル機器用途から、定置型蓄電池、車載などの中・大型用途まで、その市場はさらに広がりを見せています。そのために、更なる高エネルギー密度で、かつ安全性の高い電池材料の開発が求められています。  ここでは、特に関心の高い硫黄を材料開発に関する研究結果を紹介し、周辺の研究課題を明らかにします。講義終了後には、受講者の講演内容に関するご質問に可能な範囲で回答いたします。

  1. 硫黄の反応性
    1. 固体および溶融状態での反応
    2. 有機硫黄ラジカルカチオンの安定性
    3. 硫黄の酸化状態
    4. 金属イオンと結合した硫黄
    5. 硫黄の酸化還元電位
  2. 電極材料としての無機硫黄
    1. 無機硫黄 (溶融/溶存状態) の放電曲線
    2. ナトリウム-硫黄 (Na-S) 電池
    3. リチウム二次電池の正極材料の技術マップ
    4. 炭素材料との複合化とその電極特性
  3. ポリマーとの複合化
    1. 硫黄含有ポリアクリルニトリル熱処理生成物
    2. PAN-Sの類似化合物Naphtho[1,8-cd][1,2]dithiole (NDT)
    3. 硫黄化合物正極の複合化
    4. ジスルフィド化合物の正極材料への応用
      1. 導電性ポリマーとの複合化
      2. 金属ナノ粒子との複合化
      3. 有機ポリマー正極材料の可能性
      4. ジスルフィド (S-S) 結合の制御
      5. レドックス挙動の可逆性
  4. 有機硫黄ポリマー正極材料
    1. ジチオール環含有ナフタレン誘導体
    2. ジチオール環含有アントラセン誘導体
    3. TTNポリマー
  5. 硫黄化合物固体微粒子のボルタモグラムの解析
  6. 最新動向
  7. 展望

第2部 CNT正極を用いた高容量LiS二次電池の実用化開発

(2016年4月7日 12:45〜14:15)

 近年、モバイル端末の普及や環境問題に対応した電気自動車の研究開発に伴い、高容量の二次電池が要望されている。リチウム二次電池よりさらに高容量の二次電池として、負極にリチウム金属と正極に硫黄を用いたLiS二次電池が注目されている。その特長は、硫黄正極の理論容量 (1675 mAhg-1) が従来のリチウム二次電池のLiCoO2正極容量 (約140 mAhg-1) と比較し約10倍大きく、かつ、資源が豊富で安価という利点にある。しかし、この電池の実用化には、硫黄自身の絶縁性の問題と多硫化物イオンの溶解によるサイクル劣化の問題を解決する必要がある。  本講座では、理論的高容量が期待されてきたLiS二次電池が、実デバイスとして有効に機能させる方法を紹介し、ラミネート型電池の試作を通して、今後の実用化までの課題を検討する。

  1. LiS二次電池の背景
    1. Li二次電池の市場
    2. 次世代二次電池の開発方向
    3. LiS二次電池の特徴
    4. LiS二次電池の動作原理
    5. LiS二次電池の課題
  2. アルバックにおけるLiS二次電池の開発
    1. CNT-CVD技術の紹介
    2. CNT電極の特徴
    3. CNT-S複合電極の作製
    4. CNT-S複合電極と塗布電極の比較
  3. 実用化を目指したLiS二次電池の開発
    1. 高エネルギー密度化に向けての硫黄担持の課題
    2. 電解液・セパレータなどの材料開発の課題
    3. ラミネート型電池の試作と特性評価
    4. 製造プロセスの装置開発の課題

第3部 リチウム-硫黄電池電解液のスペシエーション分析とイオン伝導機構

(2016年4月7日 14:30〜16:00)

 溶液中のイオンの構造と反応性は、古くから学術的な興味だけでなく、電池、特に電解液の開発とも密接に関係しながら発展してきました。溶液中のイオンを分子論に立脚して体系化する試みは、水溶液に関しては、ほぼ完成したといえます。しかし、非水溶液やイオン液体といった複雑な系では、未だ不明な点も多く残されています。一方で、次世代高性能電池の電解液開発の観点からは、溶媒和イオン液体のように、従来にはない新たな概念を必要とする液体が提案されています。  本講座では、溶液中のイオンの構造と反応性、イオン伝導について、古典論から出発し、講師らの最近の成果にいたるまで平易に解説します。

  1. 溶液中のイオンの溶媒和構造と反応性
    1. 溶液中のイオン-溶媒およびイオン間相互作用の連続体モデル
    2. 水溶液中のイオン伝導とStokes則の破綻
    3. イオンの水和モデルと構造
    4. 非水溶液中のイオン溶媒和構造と反応性
  2. 溶液中のイオンのスペシエーション分析
    1. 熱力学的方法
    2. 電気化学的方法
    3. 振動分光と量子化学計算
    4. X線・中性子散乱と分子動力学シミュレーション
    5. X線吸収端微細構造 (XAFS)
  3. リチウム-硫黄電池電解液としてのリチウム-グライム錯体系溶媒和イオン液体
    1. イオン液体とその分類
    2. 溶媒和イオン液体と超濃厚電解質溶液
    3. リチウム-グライム系溶媒和イオン液体中のリチウム局所構造とリチウムイオン伝導

会場

株式会社 技術情報協会
141-0031 東京都 品川区 西五反田2-29-5
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