本セミナーでは、リチウム硫黄電池について基礎から解説し、硫黄の溶出、導電剤との複合化、イオン伝導機構の解明など、実用化の障壁と解決のアプローチについて詳解いたします。
(2016年4月7日 10:30〜12:00)
リチウム二次電池は、モバイル機器用途から、定置型蓄電池、車載などの中・大型用途まで、その市場はさらに広がりを見せています。そのために、更なる高エネルギー密度で、かつ安全性の高い電池材料の開発が求められています。 ここでは、特に関心の高い硫黄を材料開発に関する研究結果を紹介し、周辺の研究課題を明らかにします。講義終了後には、受講者の講演内容に関するご質問に可能な範囲で回答いたします。
(2016年4月7日 12:45〜14:15)
近年、モバイル端末の普及や環境問題に対応した電気自動車の研究開発に伴い、高容量の二次電池が要望されている。リチウム二次電池よりさらに高容量の二次電池として、負極にリチウム金属と正極に硫黄を用いたLiS二次電池が注目されている。その特長は、硫黄正極の理論容量 (1675 mAhg-1) が従来のリチウム二次電池のLiCoO2正極容量 (約140 mAhg-1) と比較し約10倍大きく、かつ、資源が豊富で安価という利点にある。しかし、この電池の実用化には、硫黄自身の絶縁性の問題と多硫化物イオンの溶解によるサイクル劣化の問題を解決する必要がある。 本講座では、理論的高容量が期待されてきたLiS二次電池が、実デバイスとして有効に機能させる方法を紹介し、ラミネート型電池の試作を通して、今後の実用化までの課題を検討する。
(2016年4月7日 14:30〜16:00)
溶液中のイオンの構造と反応性は、古くから学術的な興味だけでなく、電池、特に電解液の開発とも密接に関係しながら発展してきました。溶液中のイオンを分子論に立脚して体系化する試みは、水溶液に関しては、ほぼ完成したといえます。しかし、非水溶液やイオン液体といった複雑な系では、未だ不明な点も多く残されています。一方で、次世代高性能電池の電解液開発の観点からは、溶媒和イオン液体のように、従来にはない新たな概念を必要とする液体が提案されています。 本講座では、溶液中のイオンの構造と反応性、イオン伝導について、古典論から出発し、講師らの最近の成果にいたるまで平易に解説します。