本セミナーでは、化粧品分野における粉体の基礎・表面処理の基礎から解説し、機能性ナノコーティングとその応用について詳解いたします。
化粧品、特にメイクアップ化粧品や紫外線防御化粧品には粉体は顔料として多く使われている。これらの顔料は色を出したり紫外線を防御したりするが、均一に分散されなければ効果は現れない。また、しばしば粉体が配合されている化粧品にトラブルが起こるが、この原因を追究することはなかなか難しい。これは粉体にはバルクの性質に加えて粉体の性質と表面の性質があるためで、それらの大まかな知識がないと現象を全体的に把握できないためだと思われる。 表面に関する性質には表面積や細孔分布、表面に吸着した分子の状態、表面電荷および親水性・疎水性といった濡れに関する性質などがあり、それらがお互いに影響を及ぼし合っている。特に触媒活性はさほど強い活性がなくても共存する他の成分に影響を与え、製品の品質を劣化させる場合がある。このような場合には表面処理を行うが、まず表面の触媒活性を消失させて、その後に分散性などの機能性を付与することが望ましい。粉体の表面処理というと古臭さを感じさせるが、精密なナノコーティングは「先端技術」の匂いの強いプロセスとなる。 本講では化粧品に用いられる粉体の性質と表面処理、特に「機能性ナノコーティング」についてその応用も含めて述べる。