日本人の死亡要因の第1はがんであるが、心疾患と脳血管疾患による死亡の割合の合計はがんと匹敵し、また、超齢化社会が進行する中、高齢になるほど血管系疾患による死亡割合が増加する。このため、今後益々、血管の治療が重要になり、血管治療技術の大幅な向上が必要である。
本講演では、これら背景を概説し、また、これら血管系治療機器に用いられる金属材料について述べたあと、血管治療機器として大きく注目されている形状可変材料 (特に形状記憶合金) と、形状記憶効果・超弾性効果について説明し、その後、将来の血管系治療機器に使われる新材料の開発状況について述べる。
- 金属材料の特徴
- 形状記憶合金
- 各種アクチュエータ (形状可変材料) の特徴
- 形状可変の動作
- 形状可変材料の特徴
**ひずみや発生力
- 変形挙動
- 形状記憶効果のメカニズム
- マルテンサイト変態
- マルテンサイト変態の種類
- 変形機構
- 形状記憶合金の種類
- 形状記憶合金の研究動向
- 形状記憶合金の性能向上
- 形状記憶合金の利点
- 形状記憶合金の利用
- 超弾性合金の利用
- 形状記憶合金による熱エネルギー回収、その原理
- 医療で使われる形状記憶合金とその理由
- 日本人の死亡原因とその年齢による変化
- 形状記憶合金による血管内治療
- 周期律表と生体安全性
- 血管治療材料に求められるもの、レントゲン造影性の原理
- 新しい生体用形状記憶合金の研究動向、特にチタン合金と金合金について
- よりよい形状記憶合金を創成するための材料設計
- 組織と特性の関係 – 集合組織制御