第1部. 機械工学の視点から見た人工関節の開発
(2016年2月22日 11:00〜13:00)
本講演では、材料加工・表面処理を基盤とした「機械工学」的な視点から、人工関節を始めとする整形外科分野の課題について考えるととも に、同分野における新しい「ものづくり」の考えた方を提案する。
- 人工関節の加工・表面処理の現状と課題
- 人工関節に対する国内外の研究・開発動向
- 人工関節の新しい加工プロセスの提案
- 整形外科材料への新しい表面処理技術の提案
第2部. アジア人・高齢者への最適化を目指す人工膝関節デザインの開発と股関節の3Dプリンターの活用事例
(2016年2月22日 13:45〜15:15)
人工膝関節置換術 (TKA) は優れた臨床成績が獲得可能な手術として一般化され、患者のQOL向上に寄与しているが、本邦におけるTKA症例数の約94%が欧米からの輸入品であり、欧米人の骨形態を基本に設計されたTKAインプラントデザインでは日本人の骨形態に一致しない可能性が残り、また生活様式の差から可動域に不満を抱く症例も散見されます。本講座では人工膝関節、及び周辺技術、今後アジア人に求められる人工関節機能の更なる高度化を目指した技術について紹介します。
- 人工膝関節の背景
- 日本人、アジア人の骨形態
- 人工膝関節のデザイン
- 人工関節の材料
- 有効性・安全性評価
- 人工膝関節 術前計画
- 人工膝関節 術中支援
- 人工膝関節 術後評価
- 新規材料
- 新規表面処理技術
- 積層造形法を用いた製造技術
- アジア人に最適な人工膝関節を目指して
第3部. 微細加工装置を用いた3次元耳介形状軟骨の再生と今後の応用展望
(2016年2月22日 15:30〜17:00)
幹細胞を用いた組織再生の技術開発が進む一方、組織加工培養技術も改めて脚光を浴びている。本発表では、均一サイズに微細加工したマイクロ軟骨に bFGF サイトカインを併用し移植することで、培養行程を介さない生体内軟骨組織再生に成功したので報告する。
- 緒言
- 小耳症の外科的治療の変遷および従来の軟骨移植法の問題点
- 細胞加工技術を臨床応用する上での課題
- 当教室で行ってきた軟骨 3 次元再生誘導の研究成果
- 実験内容とその結果
- 微細加工装置の開発とマイクロ軟骨の生物学的評価
- 軟骨片移植における bFGF サイトカイン徐放システムのインパクト
- マイクロ軟骨/bFGF 徐放システム/PGA 足場材料併用による生体内軟骨再生の評価
- 考察
- 移植後に軟骨片が再吸収されてしまう問題について
- bFGF 徐放システムの有用性について
- 細胞培養を介さないことの有用性について
- 臨床応用への具体的方向性