うつ病治療における診断評価と診療現場が望む新薬像とは

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うつ病は生物学的・心理学的・社会学的疾患であり、個々のうつ病患者において、どの要因が強く関連しているかが異なっている極めてheterogeneousな疾患群である。当然、どの要因が強く関連しているかによって、治療方針が異なってくるし、転帰・予後も異なってくる。  各国のうつ病治療ガイドラインは、うつ病を軽症、中等症、重症に分け、それぞれ治療方針を整理しているが、各ガイドラインにより多少のばらつきがある。特に軽症うつ病に対する抗うつ薬使用に関しては、各ガイドラインで扱いが異なっており、軽症うつ病への抗うつ薬使用を否定的なものもある。はたして、軽症うつ病に抗うつ薬が無効というエビデンスはどの程度正しいのか改めて考える必要がある。  そもそも、うつ病の重症度を診立てることはそう簡単なことではない。DSM診断における軽症の判断は、症状の数と社会的または職業的機能障害の程度ですることになっているが、ICD診断では、うつ病エピソードの重症度分類に関する説明の中で「個人的、社会的、文化的な影響により、症状の重症度と社会的活動とは必ずしも並行しない。そのような影響はふつうにみられ、かつ強力なので、社会的活動を重症度の必須基準に含めることは賢明ではない」と明記している。見かけ上の軽症に惑わされない診立てが、ここでも重要となる。  2013年改訂されたDSM-5では、双極性障害と抑うつ障害群の特定用語として、「不安性の苦痛を伴う」と「混合性の特徴を伴う」が追加された。この2つの特定用語は、自殺のより高い危険性、転帰不良、治療抵抗性と関連してくる。これらは、うつ病の中にある双極スペクトラム障害概念も含め、大変重要な知見といえる。  Heterogeneousなうつ病に対し、それほど強力とはいえない抗うつ薬という武器を手に立ち向かうために、今何ができるのか、さらに、今どのような薬剤選択が可能で、今後どのような薬剤が希求されているのかをもう一度考えてみたい。

  1. はじめに
  2. うつ病の増加はなぜ起きたか?
  3. うつ病診断と診療の現状
  4. うつ病のheterogeneousさの再考
  5. DSM-5はうつ病を考える上で、どの程度有効なのか
  6. うつ病評価尺度の実際と限界
  7. うつ病と双極性障害との関連
  8. 難治性あるいは治療抵抗性うつ病とは何か?
  9. 改めて単一精神病論を考える
  10. モノアミン仮説による抗うつ薬の限界
  11. 現在ある抗うつ薬の選択方法
  12. 現在進行中の治験薬、中止になった治験薬、今後開発されそうな治験薬
  13. 結局どのような抗うつ薬が現場で求められるか
  14. まとめ

会場

江東区役所 商工情報センター (カメリアプラザ)
136-0071 東京都 江東区 亀戸2-19-1
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