セルロースの構造材料利用に関わる力学知識と研究開発の現状

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本セミナーでは、植物系天然繊維が優れた機械的性質を発現するメカニズム、強度信頼性、ならびに力学的・化学的負荷による改善効果について解説いたします。

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プログラム

セルロースの構造材料利用において、日本ではセルロースナノファイバー (CNF) が、欧州ではセルロース系天然繊維がそれぞれ注目を浴びている。特に欧州では、セルロース系天然繊維を使った複合材料がすでに自動車の内装材等に使われており、最近ではモビリティ全般への活用が検討されている。  本セミナーでは、まずセルロース系天然繊維が優れた機械的性質を発現するメカニズム、その信頼性、さらなる特性向上のための力学的・化学的処理効果について解説する。続いて、CNFおよびセルロース系天然繊維を複合化した際の強度・剛性発現メカニズムに関する力学モデルを講述する。  最終的に、力学的視点からナノサイズ強化材の強度・剛性向上可能な発現メカニズムを考察する。

  1. はじめに
    • セルロースの構造材料利用において、日本ではセルロースナノファイバー (CNF) が、欧州ではセルロース系天然繊維がそれぞれ注目を浴びている。第1部では両者が注目を集めた背景を述べるとともに、現在の動向について概観する。
  2. セルロース系天然繊維の組織構造と力学特性の関係および特性改善
    • セルロース系天然繊維は素繊維細胞 (シングルセル) が多数集まったマルチセルからなる。セルロースの結晶弾性率は140GPaでありガラス繊維を上回るものの、セルロースが束状に集まったシングルセルではその優れた剛性機能が十分生かされない。第2部では、負荷による回転現象に着目し、マルチセル構造をとることによって剛性 (弾性率) がシングルセルより向上することを、力学モデル (異方性弾性有限要素解析) を通して解説する。さらに、マルチセル化は剛性 (弾性率) のばらつきも減少させる構造であることを信頼性理論によって実証するとともに、さらなる特性向上のための力学的・化学的処理効果について解説する。
      1. セルロース系天然繊維の構造と特性、およびCNFとのちがい
      2. セルロース系天然繊維の膨張および引張負荷による回転とそのメカニズム
      3. マルチセル天然繊維の高弾性率発現機構
      4. 天然繊維の弾性率のばらつきとFOSM法による信頼性解析
      5. 繰返し引張負荷による天然繊維の強度・剛性改善
      6. アルカリ処理による天然繊維の靱性改善と複合材料への適用 ~引張・衝撃特性~
  3. 短繊維強化複合材料と長繊維強化複合材料 ~強化メカニズムのちがい~
    • セルロース系天然繊維およびCNFは繊維長に限りがあり、人工繊維のような長繊維形態をとらない。このため、ともに短繊維形態のまま強化材として使用されることが多い。一方、これらを長繊維形態にするためには、一般には紡糸・撚糸工程を経る必要があり、これを強化材として利用することもある。第3部では、短繊維強化材の強度、剛性発現機構について触れるとともに、紡糸・撚糸を強化材とする複合材料力学についても解説する。
      1. 短繊維強化複合材料の強度・剛性発現機構の基本原理
      2. 長繊維強化複合材料の力学モデル
      3. 撚糸 (ねんし) 弾性率モデル ~撚り (より) の強弱による弾性率変化~
      4. 天然繊維スライバーによる長繊維形態と力学特性
  4. 力学視点によるナノ効果の発現メカニズム
    • マイクロサイズ強化材に比べてナノサイズの優れている点を力学的視点から議論し、その本質の解明に迫る。また、母材である樹脂の結晶化にも着目し、強度・剛性のちがいを考察する。
      1. ナノサイズ強化材による強度・剛性向上可能なメカニズム
      2. 低含有率マイクロサイズ強化材の強度・剛性発現メカニズム
      3. 長繊維形態と短繊維形態によるナノ効果のちがい

会場

連合会館
101-0062 東京都 千代田区 神田駿河台三丁目2-11
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