導電性フィラーとポリマーからなる導電性複合材料の開発に当たって、最も重要な導電性フィラーのポリマー中での分散性と導電性発現の関係をパーコレーション理論をベースに解説します。前半ではまず、パーコレーション理論の基礎について紹介し次いで、低いパーコレーション閾値を得る方法及びフィラーの表面処理及び成形加工法がフィラーの分散性に及ぼす影響について解説し最後に、分散性の評価法について紹介します。後半では導電性フィラーの種類別に、ポリマー中での分散性と導電性発現の関係につい具体的に解説します。
取り上げるフィラーはカーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、金属をはじめ、最近注目を集めているカーボンナノチューブ、グラフェンおよびπ共役系導電性ポリマーです。
- パーコレーション現象の基礎
- 導電性フィラー配合樹脂の導電機構モデル
- 統計的パーコレーションモデル
- Effective Media (実質媒質) モデル
- General Effective Media (GEM) モデル
- 熱力学的パーコレーションモデル
- 動的パーコレーションモデル
- Interparticle Distance (IPD) Model
- Composites with Hybrid Fillers
- フィラー粒子間の導電機構
- 直接接触モデル
- 被膜介在モデル (トンネル伝導モデル)
- 導電性フィラーの表面改質法
- カップリング剤よる表面改質
- ポリマーグラフト化による表面改質
- ダブルパーコレーション
- ダブルパーコレーション機構
- Youngの式
- 住田らのモデル
- 非相溶ポリマーブレンド系での導電性フィラーの選択的局在化法
- 2成分ポリマーブレンド系
- 3成分ポリマーブレンド系
- 自己組織化導電ネットワーク形成系
- 高アスペクト導電性フィラーのSlim – Fast 機構
- 導電性フィラー配合樹脂の分散状態の評価法
- 画像統計解析
- X線小角散乱
- 動的粘弾性
- 導電性フィラー配合樹脂の電気抵抗 (導電率) 計測法
- 2端子法と4端子法
- 4端子法と4探針法
- ファン・デア・ポウ (van der Pauw) 法
- カーボン系フィラーの特徴と配合樹脂の特性
- カーボンブラック
- アセチレンブラック
- グラファイト
- 炭素繊維
- 気相法炭素繊維 (VGCF)
- カーボンナノチューブ
- グラフェン
- 金属フィラーの特徴と配合樹脂の特性
- 金属フィラーの種類と特徴
- 導電性接着剤への応用
- 導電性ポリマーの特徴と配合樹脂の特性
- 導電性ポリマーの種類と特徴
- 導電性ポリマー配合樹脂の特性