本セミナーでは、ドライバーの視認性低下につながる 「煩わしさ感」と「映像酔い」の仕組みを知り、設計に活かすための知識を習得していただきます。
(2016年1月29日 10:50〜12:00)
従来のヘッドアップディスプレイは凹面鏡または凸レンズによる虚像生成を行っていたため、装置の奥行きが必要で大画面化が難しかった。本講座では、立体視で両眼の輻輳角を遠距離に誘導すれば、虚像生成をせずともヘッドアップディスプレイとして十分機能することを示す評価実験の結果を紹介する。この原理を用いれば、ウインドシールド全体をヘッドアップディスプレイとして用いることが十分可能であると考えられる。
(2016年1月29日 12:45〜13:45)
ヘッドアップディスプレイを製作する際に考慮すべき点のうち、ドライバの感じる煩わしさ感についてこれまでのいくつかの実験結果を紹介する。さらに、安全性の観点から考慮すべき内容についての研究成果を紹介する。
(2016年1月29日 13:55〜15:25)
私たちが外界を知覚するために直接得ている視覚情報は網膜に投影された2次元の像ですが、私たちの目の前に見えているのは豊かな3次元の世界です。このことは、私たちが網膜に映った像そのものを見ているのではなく、脳内で3次元に復元した結果を見ていることを気づかせてくれます。 この3次元の復元には、両眼の網膜像のずれである両眼視差や、運動の手がかり、絵画的手がかりなど、さまざまな情報が利用されています。 本講演では、これらの手がかりによる奥行き知覚の特性やそのメカニズムについて概説し、特に両眼視差による両眼立体視のしくみについて詳しく解説します。 たとえば、両眼視差から奥行きを正しく復元するためには対象までの距離の正しい知覚によるスケーリングが必要となりますが、このことによって人工的に3次元の映像を提示しようとした時にいくつかの問題を生じます。その具体例を示しながら3D映像提示の諸問題や3D映像の適切な利用について考えていきます。 講義の後半では,3D映像が,なぜ酔いや疲労を生じやすいのかを解説しながら、映像酔いをもたらす要因について現在考えられている仮説を紹介します。酔いを発生させる一つの重要な要素として、自己の視点の移動の知覚をもたらすオプティカルフローがあります。このオプティカルフローの情報を操作することによるヘッドマウントディスプレイを用いた映像酔いの研究や、運転行動を制御することを目的とした応用的な研究も紹介します。