講師は、データ集刊行のため、ポリマー530種類、および、添加剤630種類の赤外スペクトルを実測した。これらのスペクトルを整理・体系化して編み出した、スペクトル定性の実践ガイドを本講座の中心に据えて解説する。これは、スペクトルの特徴を把握して定性する方式で、従来法 (Decision Tree法) より手っ取り早く、使用を重ねる内にスペクトルを読む力が自然に身に着く利点がある。
講師もコンピュータによるスペクトル検索の威力を認めるにやぶさかではないが、コンピュータ検索ではスペクトルを読む力が身に着かず、応用力も身に着かない。コンピュータ検索を用いる人に対しても、より効果的な検索が可能になるよう、スペクトルを読む力を養うことをお勧めしたい。
強調したいポイント
- ちょっとしたルールを覚えるだけでスペクトルの理解力は飛躍的に向上する
- 赤外スペクトルを眺めて特徴をつかめば、定性は容易なこと
- コンピュータ検索が無視する小さいピークが、定性に決定的に役立つことがある
- 赤外に加えラマンを併用すると細かい識別が単純明快なことがある
- Part 1 序論:共通基礎
- 赤外分光法の基礎:原理および基準振動という概念
- 覚えておけば役立つグループ振動の色々
- グループ振動のシフト:ピークをシフトさせる色々な要因
- 波数領域分割の勧め
- よくあるスペクトルの異常
- スペクトルの特徴の把握法:パターン・第1吸収帯の位置・形状他
- 未知スペクトルの定性の要領:一般論
- 従来提唱されているスペクトル定性ガイド:Decision Tree法
- 混合物のスペクトルの解析法
- ラマン分光法の基礎:原理および特徴
- Part 2 赤外およびラマンスペクトルによるポリマーの定性:基礎
- 主要ポリマーの赤外スペクトル:ピークの帰属および特徴
- ポリマーの赤外スペクトルのパターン化
- ポリマーの定性におけるラマンスペクトルの効果的な利用法
- Part 3 独自方式の実践ガイド:ポリマーの未知スペクトルの定性法
- 「この波数位置に、こういうピークがあればこのポリマー」
- 「こことここに、こういうピークがあればこのポリマー」
- 「ここにピークがなければこのポリマー」というような具体的な指針、および簡潔な解説をチャート付きで示す
- Part 4 赤外スペクトルによるプラスチック用添加剤の定性:基礎
- 主要添加剤の赤外スペクトル:ピークの帰属および特徴
- 添加剤の赤外スペクトルのパターン化
- Part 5 独自方式の実践ガイド:添加剤の未知スペクトルの定性法
- Part 6