近年、家庭用掃除ロボットやコミュニケーション型パーソナルロボットなどが個人の生活の中に入り込み、生活環境の中で移動するロボットがより身近なものになっている。中でも、自律移動機能は移動ロボットに要求される機能の中でも重要な機能に位置付けられ、各種サービスを提供するためには、必要性が極めて高い機能の1つである。さらに、現在世界中の自動車メーカ等が自動運転カーの普及に向けて精力的に技術開発を推進しており、多方面に渡って自律移動関連技術の高度化や高信頼化が進んでいる。 本講演では、まずロボット産業全体を俯瞰し、工場内等の産業用途も含めて、各応用分野で使われている現状の自律移動技術や位置推定技術について概説する。次に、例として講演者らが開発中の、市街地等の屋外環境や施設内をシームレスに自律走行する車いすロボット、オフィス内を自動で動きサービスを提供する自律移動ロボットを取り上げ、それらのロボットで使われている自律移動技術に関して詳説する。さらに、つくば市で実施している自律移動型モビリティの実証試験や関連法規制緩和などに関して紹介する。最後に、今後の自律移動技術開発の実用化に向けた課題について、将来展望も含めて述べる。