PIC/S – GMPおよびGMP事例集 (2013年版) での受入確認試験の重要性を再確認するために、まずAnnex8、Annex20ならびに製品品質照査の内容を概説する。次に受入確認試験において採用および検討されているラマン分光法と近赤外分光法の特徴を述べる。さらに分析法バリデーションを具体的に説明し、医薬品原料粉体の受入確認試験を携帯型ラマン分光装置により実施した結果について詳細に解説する。具体的には内包装材料の種類とその厚みを変化させた結果に加えて、主薬・賦形剤・結合剤、無機の添加剤、結晶形の異なる原料粉体についての受入確認試験結果である。
一方、近赤外分光法では、ラマン分光法において困難な原料粉体の受入確認試験結果を主に説明する。もちろん両分光法による受入確認試は非破壊・非接触で迅速・簡便に実施されることを確認しているが、取り扱い上の注意点についても簡単に述べる。さらに製薬会社に注目し、受入確認試験を実施している結果を紹介する。最後に全数受入確認試験を免除する規定についてもごく簡単に触れたい。
- PIC/S GMP、GMP施行通知およびGMP事例集 (2013年版) と振動分光法
- PIC/S – GMPの一般規定およびAnnex8「出発原料と包装材料のサンプリング」の内容確認
- 品質保証として重要なAnnex20「品質リスクマネジメント」
- GMP施行通知 (製品品質照査) ならびに事例集内容 (検体採取)
- PIC/S – GDP (医薬品の適正流通基準) について
- Q8 (製剤開発) を支援するPAT (プロセス解析工学) とラマン分光法・近赤外分光法
- 迅速/簡便な受入確認試験用のラマン分光装置・近赤外分光装置の紹介
- 分析法バリデーションによる原料受入確認試験
- 分析法バリデーションの概要
- 分析能パラメータ (併行精度、室内再現精度、空間再現精度) の説明
- ラマンシフト値、バンドの化学的帰属
- 分析能パラメータに基づく具体的な受入確認試験方法とその結果
- 受入確認試験のためのスペクトル解析 (スペクトルのt – 検定など)
- 特異性に基づく受入確認試験結果 (携帯型ラマン分光法装置)
- ラマン分光法・近赤外分光法による受入確認試験の詳細な結果
- 包装材料の種類および内包装材料の厚み
- 主薬、賦形剤、結合剤、無機の添加剤、健康食品粉体 (天然由来原料)
- 製造会社および産地の違いによる受入試験は可能?
- 主成分分析による原料粉体の識別
- 携帯型分光装置による受入試験の注意点
- 製薬会社の取り組み
- 携帯型ラマン分光装置を採用した経緯
- 製薬会社の原料受入試験例 (ラマン分光法、近赤外分光法)
- 受入試験装置の最近の傾向 (励起波長1030nm、1064nm)
- 受入確認試験の免除規定
- PIC/S – GMP Annex8の内容再確認 (確認試験の回避)
- オーストラリア当局 (TGA) のPIC/S – GMPのQ&A
- 原材料等の供給者管理の重要性