フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェン、ナノダイヤモンドは、ナノカーボン、あるいはナノ炭素材料と総称され、その用途開発が盛んに行われている。その一方で、2000年前半から“ナノリスク“という言葉が浸透し、素材の応用と毒性が車の両輪のように捉えられ、応用が期待されている様々なナノ材料の毒性評価が国家プロジェクトとして行われるようになった。このような背景から、本セミナーでは、まず、ナノカーボンの基礎、すなわち、それらの構造、合成、分離そして化学修飾などについて概観する。 次に、ナノカーボンの安全性評価に関して、産業技術総合研究所 (AIST) でまとめられた”ナノ材料リスク評価書“、米国立労働安全衛生研究所 (NIOSH) からの報告書やごく最近、新聞にも取り上げられた厚労省からのカーボンナノチューブの毒性に関する報告などに基づき解説する。さらには、近年注目を浴びているナノカーボンの生物医療応用について、講師らの取り組みも含め、紹介する。