難治性・慢性疼痛の新規治療薬開発と治験デザイン

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プログラム

第1部. 高齢化社会における慢性疼痛治療トレンドと治験デザイン時の注意事項

(2015年12月4日 11:00〜12:30)

 本邦の高齢者の活躍にはめざましいものがありますが、一方で高齢者の各種疾患後の慢性痛が増加しています。生体警告としての役割が乏しい状態で数ヶ月以降も継続する慢性痛では、中枢神経系に可塑的変化や心理学的機序による歪みが生じ、明らかな神経系全体の異常へと進展します。しばしば患者のQOLを著しく損なうので、慢性痛診療では、治療の対象となるのは、痛み行動であるとさえ言われるようになりました。本講義では、慢性痛の社会的背景と治療トレンド、新薬評価時の注意事項を解説します。

  1. 慢性痛の発症起点と疫学
  2. 急性痛と異なるアプローチの必要性
    1. 原因組織損傷への処置
    2. 消炎鎮痛処置の限界
    3. 神経系全体の過敏性除去とQOL向上
      • チャネルブロッカー
      • リハビリテーション・理学療法
      • 神経刺激治療
      • 認知行動療法
  3. 各種治療的介入による副作用発生防止
  4. 治療コンプライアンスを高めるためのDDS (drug delivery system)
  5. 下行性抑制系修飾を目的とした薬理学的介入の可能性
  6. 神経系の可塑性修飾 (再生医学的アプローチの可能性)
    1. 異常な再生防止
    2. 正常な再生促進
  7. 識別能の高い治験のための注意事項

第2部. 難治性疼痛の発症機序と新規治療薬開発

(2015年12月4日 13:15〜14:45)

 難治性疼痛の発症機序について、神経障害性疼痛モデルラットおよびマウスを用いて、神経細胞とグリア細胞との相互関係を解析することにより考察する。さらに難治性疼痛に対する新規治療薬の開発ターゲットを下降性の疼痛抑制系の活性化による側面から討論する。

  1. 難治性 (慢性) 疼痛の発症機序
    1. 神経障害性疼痛モデルの作製
    2. 脊髄後角での神経細胞とグリア細胞の関係
    3. 疼痛制御に対するhigh mobility group box – 1 (HMGB1) の役割
  2. 脊髄グリア細胞は痛みの記憶細胞か?
    1. Connexin43 (gap junctionの構成タンパク質) と疼痛
    2. 脊髄アストロサイトのConnexin43の機能
    3. サブスタンスPとグルタミン酸の疼痛への関与
    4. 炎症性サイトカインとConnexin43
    5. 脊髄レベルでの新規治療薬の可能性
  3. 慢性疼痛による疼痛認知関連脳領域の神経ペプチドの役割
    1. 末梢組織への侵害刺激に呼応する脳線条体からのサブスタンスPの遊離
    2. 脳内Volume transmitter としてのサブスタンスP

第3部. 原因不明と診断されやすい筋筋膜性痛の診断・治療

(2015年12月4日 15:00〜16:30)

 昨今の西洋医学的診断の進歩にも関わらず、原因不明とされる症例も未だに少なくありません。それらの症例の中には、筋由来の痛みが原因と思われるものも少なからず存在するので、今回はそれに着目していきます。

  1. 筋筋膜性痛について
    1. 筋痛のメカニズム
    2. 筋筋膜性痛の特徴
    3. 筋筋膜性痛の診断のポイント
  2. トリガーポイントと経穴 (ツボ)
    1. トリガーポイントについて
    2. 経穴 (ツボ) について
    3. トリガーポイント・経穴 (ツボ) の類似点・相違点
  3. 筋筋膜性痛の治療
    1. 筋筋膜性痛の西洋医学的アプローチ
    2. 筋筋膜性痛の東洋医学的アプローチ
    3. 筋筋膜性痛を和らげる生活指導 (食生活,運動)
    4. 具体的な症例提示
    5. まとめ (筋筋膜性痛を予防するために)

会場

株式会社 技術情報協会
141-0031 東京都 品川区 西五反田2-29-5
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