(2015年12月18日 10:30〜12:00)
本セミナーは、600V以下の電源で駆動されるモータの電気絶縁技術に関するもので、特に車載されるインバータ駆動モータは、小型化のため温度が上昇したり、冷却性能向上のため水分を含んだトランスミッション潤滑油を発熱部に直接あて冷却する方法が用いられ、絶縁物にとっては寿命的に過酷な環境下に曝されている。また高トルク・高出力化のため、駆動電圧の高電圧化傾向にあり、高いインバータサージ電圧が印加されると、部分放電に起因するエナメル被膜や絶縁部位を浸食しやがて絶縁破壊が生じることが懸念される。 本セミナーは、講師40年のモータ設計経験を元に、絶縁の基礎並びに製造上の問題を避け造り易く信頼性の高いモータを提供するための絶縁技術を解説するものである。
(2015年12月18日 12:45〜14:15)
最新パワーエレクトロニクス技術による省エネと高効率化に優れたインバータ駆動モータが電気製品や産業機器用モータだけでなく、ハイブリッドカー (HEV) や電気自動車 (EV) など幅広い市場で開発・実用化され、急速に生産が拡大している。しかしながら、インバータから発生する立ち上がりが急峻な高サージ電圧によるモータの絶縁破壊のトラブルが発生し、その対策が大きな課題となっている。絶縁システムの劣化破壊は部分放電の発生に起因することは良く知られている。繰り返しインパルス電圧によって発生する部分放電は従来のAC電圧の場合と比べ特徴や検知方法が大きく異なる。インバータ駆動モータの絶縁評価には、様々な環境要因で変化する複雑な部分放電特性を理解し、発生の予測がポイントとなる。本講演の前半ではこのインパルス部分放電特性や優れた耐サージ特性をもつナノコンポジットモータ巻線について分かり易く解説する。 2014年、インバータ駆動モータ絶縁に関する国際電気標準会議 (IEC) 規格が発行された。今後、IEC規格準拠した試験方法によって各インパルス電圧絶縁クラスのモータに対し部分放電フリーを保証する必要がある。しかし、実機モータへのIEC規格の適用の具体例は国内外で公表されていない。そのため、本講演者が委員長を務める電気学会調査委員会では、多くのメーカと大学が協力して国際規格関連の共通試験を実施し、その診断評価法の有用性や問題点を検討している。本講演の後半では、この実験内容の一部を紹介し、実機モータでの絶縁評価の具体的な診断方法およびインパルス電源と各部分放電計測センサについて解説する。
(2015年12月18日 14:30〜16:00)
近年、環境調和や省エネルギーに優れた自動車としてハイブリットドカー (HV) や電気自動車 (EV) の生産が、国内外で拡大している。これらに使われるモータは、パワーエレクトロニクス技術によるインバータ制御で駆動している。インバータ制御における直 – 交変換の過程で出力される矩形波パルス電圧の波頭や波尾には、インパルス状の急峻な電圧 (通称インバータサージ) が重畳され易い。このサージがインバータ駆動モータやパワーモジュールに繰り返し侵入すると、絶縁劣化が加速される。 本講座は、電気絶縁工学やパルスパワー工学を専門とする研究者による耐インバータサージ絶縁材料の設計と評価に関するセミナーである。電気絶縁工学やパルスパワー工学に関する基礎知識と、耐インバータサージ性能の評価方法についての最新の知識を提供することを目的としている。前半では、インバータサージの発生機構とサージの繰り返し印加による絶縁劣化機構について概説する。後半では、繰り返しインパルスによる絶縁劣化に対する評価方法と最近の研究成果を紹介する。