がん根治へ向けた最新治療法開発戦略

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プログラム

第1部. エクソソームにおけるがん根治へ向けた研究動向と今後の治療応用の可能性

(2015年12月14日 10:00〜11:30)

 がん細胞をはじめ、正常の細胞を含むあらゆる細胞が分泌するExtracellular vesicles (細胞外小胞体) であるExosome (エクソソーム) の研究はその発見、命名から30年以上を経た現在、新たな研究の進展を迎えている。エクソソームが内包するmicroRNAを主体とするnon-coding-RNA等の情報伝達物質の発見は、このエクソソームが、がんなどの疾患の原因究明から体液診断まで、幅広く疾患研究に貢献しうる研究対象である事が明確になってきた。エクソソームの小胞体中の情報伝達物質は、細胞の起源によって異なるものの、数百種類以上のタンパク質、100種類前後のmRNA、 そして500~1000種類を超えるmicroRNAが内包されている。がん特異的な代謝産物の存在も明らかだ。こうした核酸物質等を含有するエクソソームはまさに複合情報を細胞から細胞、あるいは個体から個体へと伝搬するデリバリーツールであるとともに、がん検診の新しいシステムとなる体液診断の主役でもある。  本講座では、エクソソームの基礎から診断、治療までの応用の可能性を細かに概説する。

第2部. 根治へ向けたがん幹細胞標的薬の研究動向と臨床試験での留意点

(2015年12月14日 12:10〜13:40)

 がん幹細胞は非常に多くのがん細胞を生み出す源となる細胞です。多くの抗がん剤はがん細胞の増殖のメカニズムを攻撃しますが、がん幹細胞は増殖能が低く、抗がん剤治療から逃れてしまいます。この根絶を免れたがん幹細胞から再び大量のがん細胞が生み出され、再発が引き起こされます。  私たちはCMLのがん幹細胞 (CML幹細胞) の維持や栄養補給のメカニズムを解析し、これらのメカニズムを標的とする治療法について研究を行っています。がん細胞を治療する分子標的医薬と、その供給源であるがん幹細胞の治療薬を併用することで、再発を克服する新しいがん治療法の開発を目指しております。

  1. 研究の背景
    1. 慢性骨髄性白血病 (CML) チロシンキナーゼ阻害剤 (TKI) の開発と再発
    2. CMLのがん幹細胞 再発を克服するCML幹細胞治療法の必要性
    3. CML幹細胞の起源 マウス正常造血幹細胞の研究がヒント
    4. CMLのマウスモデルとCML幹細胞の解析技術 (1) CML移植モデル
    5. 私たちの正常造血幹細胞の研究 フォークヘッド転写因子FOXOの役割
    6. CML幹細胞のTKI抵抗性におけるFOXOの役割 (Naka et al. Nature 2010)
  2. 眠っているCML幹細胞を起こす治療戦略 TGF- 阻害剤
    1. PD
    2. TKIとTGF- 阻害剤の併用効果
    3. TKI耐性変異を獲得したCML幹細胞の治療効果
  3. CML幹細胞の栄養獲得を標的とする治療戦略
    1. CMLのマウスモデル (2) 発症誘導型CMLモデル
    2. CML幹細胞と正常造血幹細胞のメタボローム解析
    3. CML幹細胞の栄養源獲得のメカニズム トランスポーター
    4. CML幹細胞に特異的な栄養シグナル p38MAPK-Smad3経路
    5. CML幹細胞の栄養源をブロックするCML幹細胞治療戦略
    6. CML幹細胞の栄養シグナルを阻害するCML幹細胞治療戦略
      (Naka et al. Nature Communications 2015)
  4. まとめ
    1. チロシンキナーゼ阻害剤とCML幹細胞阻害剤の併用治療
    2. 私の思う臨床応用のための留意点 自分だったら飲むか

第3部. がん免疫療法の臨床データから探る今後の開発戦略

(2015年12月14日 13:55〜15:25)

 以前、免疫療法剤としてPSKやOK-432が注目され、数々の臨床試験が行われたが、その有用性が確立されることもなく、がん免疫療法は下火となっていた。近年、免疫チェックポイントが注目され、抗CTLA-4抗体や抗PD-1抗体ががん治療薬として国内外で承認されたこともあり、本邦においても再度脚光を浴びている。ここでは、既に報告された臨床試験結果を取り上げ、がん免疫療法の可能性と今後の開発戦略を述べる。

  1. 腫瘍免疫概要
  2. 腫瘍免疫サイクルとチェックポイント
    1. CTLA-4
    2. PD-1/PD-L1
  3. 抗CTLA-4抗体イピリムマブの臨床試験概要
  4. 抗PD-1/PD-L1抗体の臨床試験概要
    1. 抗腫瘍効果の評価はRECISTで良いのか?
    2. バイオマーカーは存在するのか?
    3. 細胞障害性抗がん剤との併用
    4. 分子標的治療薬との併用
    5. イピリムマブとの併用
  5. 今後の開発戦略

第4部. 腫瘍内微小環境の光イメージングによる治療法開発

(2015年12月14日 15:40〜17:10)

 最近の生体光イメージング技術や機器の進歩は日進月歩で、組織透過性が悪い光でも、マウスのような小動物では深部の情報を非侵襲的に得ることができるようになった。光を使った生体イメージングは、経済性に優れ、動物にも優しい手法であり、簡便性、安全性、迅速性、多様性の面で、他のモダリティよりも優位な点も多い。これまで、蛍光顕微鏡等を用いて培養細胞観察で得られた情報が、生体レベルで得られるようになってきた。我々の腫瘍内微小環境の生体光イメージング研究を通して、光イメージングを用いた薬剤開発について紹介したい。

  1. 生体光イメージングの基礎
    1. 光の種類
    2. 波長と透過性
    3. 生体光イメージングの留意点
  2. 発光イメージング
    1. レポーター遺伝子の活用法
    2. トランスジェニックマウスの活用法
    3. 薬剤評価系
  3. 蛍光イメージング
    1. 蛍光イメージングプローブ
    2. 蛍光イメージングプローブの臨床応用
    3. 蛍光イメージングとマルチモダリティ
  4. 腫瘍内微小環境のイメージング
    1. 腫瘍内低酸素領域の多様性
    2. 低酸素イメージング
    3. HIFを可視化するイメージングプローブの開発

会場

株式会社 技術情報協会
141-0031 東京都 品川区 西五反田2-29-5
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