第1部:シリコン系負極材料の設計指針とSiナノ粒子の充放電に伴う構造変化
(2015年11月30日 10:30〜12:10)
シリコン (Si) 系負極材料は高容量であるが、内部抵抗が大きくサイクル劣化が激しいため、リチウムイオン電池に組み込むにはナノ構造制御および炭素など良電体との複合化が重要となる。
本講演ではSi系負極材料の基本的な性質について解説した後、一般的な設計指針である「緩衝空間の導入」の効果について詳しく解説する。また、プラズマCVDで作製した市販のSiナノ粒子を例にとり、充放電に伴う構造変化とそれを遅延化する方法について説明する。続いて、粉砕法で作製した安価なSiナノ粒子の高性能化の指針について解説する。さらに、次世代の高容量LIBに向けたSi – Li合金結晶負極の可能性についても解説する。
- Si系負極材料
- 負極材料としての基本的な性質、理論容量の考え方
- 負極容量と電池パックのエネルギー密度の関係
- 一般的な設計指針
- Siナノ粒子周囲への緩衝空間導入
- 鋳型合成による緩衝空間サイズ制御
- 緩衝空間サイズの最適値
- SiO2ナノ粒子の還元によるSiナノ粒子の調製
- Siナノ粒子の構造変化の理解とその利用
- プラズマCVDにより作製したSiナノ粒子の充放電に伴う構造変化
- 構造変化の遅延化
- 粉砕法により作製した安価なSiナノ粒子の充放電に伴う構造変化とその遅延化
- 次世代高容量LIBに向けたSi – Li合金結晶負極
- Si負極からSi – Li合金負極へ
- Si – Li合金の性質と、負極材料として可能性
第2部:リチウムイオン電池用正極活物質の研究開発動向と安全化への考え方
(2015年11月30日 13:00〜14:40)
リチウムイオン電池は、携帯電子機器用の電源などで広く普及しているが、今後は、自動車用途での普及展開、大規模な定置型蓄電池、家庭用蓄電池などの大型用途での利用が期待されている。これらの展開のキーとなるのは、高容量化、長寿命化などの高性能化は勿論であるが、低コスト化、安全性向上といった観点も重要である。
本講演では、こうした課題解決で重要な正極材料活物質について、高容量化、低コスト化、安全性向上の観点で、国内外の研究開発動向を概説し、次世代リチウムイオン電池の開発のポイントを説明する。
- リチウムイオン電池の現状と課題
- リチウムイオン電池の構成・原理
- 用途別の要求性能
- 次世代リチウムイオン電池への期待
- 現行リチウムイオン電池の正極材料
- 層状岩塩型正極
- スピネル型正極
- オリビン型正極
- 次世代リチウムイオン電池正極材料の研究開発動向
- オリビン型正極
- リン酸塩系正極
- ケイ酸塩系正極
- フッ化硫酸塩系正極
- フッ化リン酸塩系正極
- その他の酸素酸塩系正極
- リチウム過剰層状岩塩型正極
- 層状岩塩型正極
- その他の酸化物系正極
- 今後の展望
第3部:次世代自動車用リチウムイオン電池の使い方と性能、耐久性、安全性評価
(2015年11月30日 14:50〜16:30)
自動車用リチウムイオン電池の使い方や各種評価について、電池ユーザーの立場から解説します。
具体的な次世代自動車の開発動向や、自動車用リチウムイオン電池の開発動向にも触れ、電動車両の重要部品としての理解を目指します。安全性に関しては、最新の規格の状況や車両としての評価試験についても説明します。
- 次世代自動車用二次電池の開発動向
- 次世代自動車の開発動向
- 自動車用リチウムイオン電池の開発動向
- 次世代自動車における電池の使い方
- EV
- HEV
- PHV
- 電池劣化の車両性能への影響
- 自動車用リチウムイオン電池の評価 (自動車メーカの立場から)
- リチウムイオン電池の安全性規格の最新動向
- リチウム二次電池の性能試験・評価の標準化
- 安全性評価に関する標準化動向
- 安全性試験の規格
- ハザードレベル
- 過充電、過放電、ガス膨張
- 圧壊、釘刺し
- リチウムイオン電池の高温耐久性評価
- サイクル耐久
- 保存耐久
- 各種環境試験
- 低温環境下における電池性能と管理技術
- 安全性に関するトピックス