スケールアップは難しいと言われているが難しくないし,未然防止に時間もかからない。数個の技術を知っていればである。
スケールアップトラブルの原因はラボ実験とパイロット実験で同じ事をしてないことによる。それは装置上同じ事ができない、ラボ実験がいい加減でできないのと2つがあるが、どうも圧倒的に実験に問題がある。製造研究がうまく出来ない理由は文献の化学にある、文化の問題である。大学に製造研究を教える教室はない、できなくて当然で、会社で教えるものだが、多くの会社で教える人がいないのが実情ではないかと思っている。
ここに書いてあることは10ぐらい企業化した経験を元に記載している。引用文献はないが企業化は自分で考えることがほとんどである。私は製造研究の本も出版しているので興味ある人は読んで欲しい製造研究の基本が分かる。企業化は特別の人がやるのではなく、普通の人が丹念に実験してできあがる。
- 同じ事をすると同じ結果 (スケールアップトラブルの原理)
- ラボ実験とパイロット実験同じ事をしてない
- 結果が違えばやっていることが違う。→トラブル解析の基本
- トラブルの原因が分かれば普通解決策はすぐみつかる
- スケールアップトラブルの第一原則は同じ事をすれば同じ結果
- 第二原則は扱う化合物 (原料、中間体、生成物) が不安定
実例6つで説明 時間の延長 (8割) 、還流量の減少、撹拌の問題その他
- 技術の評価
- 製造研究では良い技術とは安い事、再現性がある事である
- 学校は安いことの意味を教えられない。経済性を理解してない。
- 原料が安いこと、収率が良いこと、工程が短いこと、これは誰でも分かるだろう
- 難しいのは生産性である。多分学校では素通りであろう。化学屋のほとんどが
製造研究をできない理由は、時間の価格が分からないことと考えている。化学90%である。
- 企業化では化学は大切な30%,他に70%の知識がいるが企業化すると身につく。
- トラブルの原因と未然防止
- 反応が1番多い、ラボ実験がいい加減だからラボ実験どおりパイロット実験ができない
- これは化学の文化が大きく影響、実験がいいかげん。
- トラブルは対策がないと事故につながる。 (福島原発がそうである) 事故は絶対避ける。
- 事故防止は想像力である。トラブルを想像できないと事故対策実験はできない
- GMPでは、ラボで3回同じ結果、実装置で3回同じ結果。これは理論ができてないと難しい。
これを極めた人はスケールアップの達人?
- 晶析
- 反応の次にトラブルが多い工程である
- 基本的にラボ問題でラボの評価ができてない。濾過性は見る人が見るとすぐ分かる。
- 滴下晶析法、30%晶析法 (私が開発した方法) でほとんどの問題は解決出来る
- 結晶多形、濾過性、粒度分布、固体の移動性、その他
- 生産性,経済性
- つのプラント群で1ヶ月にいくら生産できるかである
- プラントは5千万/月などと計算するのが簡単、1tだと5万円/kg
- 良い技術だというなら金額で示してくれと言うのが私流というか企業流。
原材料費と生産性で工場原価が決まる。
- スケールアップ研究何をして良いか分からないと講演で聞かれる。経済計算は1つの手。
- フローシート
- 製造研究者が書いたフローシートでスケールアップ、プラント設計、コスト計算、企業化検討がなされる
- 製造に関しては製造研究者が責任者、プラント関係者ではない
- 製造部門に丸投げしないように、いろいろ勉強が必要、具体的には物理化学
- 実験のスピードアップとテクニック (1番大切、考えたことは確認して理論)
- 小さな実験 (楽にたくさん実験するため)
- 正確な実験,良い実験計画,いい加減な実験は仕事ではない
- 反応形式は恒温滴下反応 (同じことをするために、トラブル解析のために)
- ブレークスルーは実験のスピードが絶対、考えたらすぐ実験
- マスバランスをとると反応、操作の理解ができる。1工程でなく1操作で結論。