第1部 潤滑油添加剤基礎講座 添加剤の分離・分析方法
(2015年11月20日 10:30〜13:00)
産業、工業の発展に伴って各種機械に使用される潤滑油は多岐にわたり、また、要求される性能は年々厳しくなってきている。潤滑油を厳正に選び、正しく使用することにより、工場の省エネルギー効果が増大し、利益向上につながる。また、機械装置の進歩に応じて、新しい潤滑剤の開発も重要である。
このような観点から、鉱油系潤滑剤の作り方、種類、組成、機能を熟知することは重要であり、また、潤滑油の品質、寿命を左右する添加剤の化学構造と作用機構を学習することは大いに意義がある。さらに、潤滑油の市場調査、製造工程管理、競争他社品の解明や新製品の開発のため潤滑油と添加剤の分離・分析法を体得することはきわめて大切である。
本セミナーでは、初歩的な入門講座から始まって、暫時専門的な知識に至るまで易しく解説し、特に分析については具体的な手法を解説して、実践に役立つ内容とした。
- 潤滑油添加剤の化学構造と作用機構
- 酸化防止剤
- 粘度指数向上剤
- 流動点降下剤
- 清浄分散剤
- 腐食防止剤
- さび止め剤
- 極圧添加剤
- 油性向上剤
- 消泡剤
- 乳化剤
- 摩擦調整剤
- 防かび剤 (エマルション用)
- 抗乳化剤
- 潤滑油および添加剤の分離、分析方法
- 潤滑油の系統的分離分析法
- 潤滑油基油の成分分析法
- n-d-M法による環分析
- 液体クロマトグラィー
- 迅速微量クロマトグラフ分析法
- 添加剤の分離法
- ゴム膜透析
- 液体クロマトグラフィー
- イオン交換クロマトグラフィー
- 薄層クロマトグラフィー
- 高速液体クロマトグラフィー
- 潤滑油無機成分の化学分析および機器分析
- 化学分析法
- 蛍光X線分析法
- X線回折法
- 原子吸光分析法
- プラズマ発光分析
- 潤滑油有機成分の機器分析法
- 赤外線吸収スペクトル分析
- 紫外線吸収スペクトル分析
- 核磁気共鳴スペクトル分析
- 質量スペクトル分析
- 潤滑油商品の研究開発における分離・分析方法の重要性
- 高性能電気絶縁油の開発
- 高粘度指数作動油の開発
- 高塩基性舶用シリンダ油の開発
- 潤滑油流動点降下剤の新合成法の開発
第2部 有機モリブデン化合物の合成とその機能
(2015年11月20日 13:45〜16:15)
各種有機モリブデン化合物の構造及びその特性を述べ、その中でも特に省燃費油向け潤滑油添加剤として広く採用されているMoDTCについて、その種類・構造による特性の違いを具体的な文献を紹介しながら解説する。MoDTCの摩擦低減能のメカニズムにも言及し、境界潤滑領域で特異的にフリクションを下げるその機能を解説するとともに、エンジン油におけるその使用例を紹介する。
- 有機モリブデン化合物の合成
- 有機モリブデン化合物の種類
- MoDTC,MoDTP,Mo-Amine錯体の構造・機能
- 有機モリブデン化合物の学術論文
- MoDTCの摩擦低減能・耐摩耗性・酸化安定性の論文紹介
- MoS2被膜による摩擦低減能の論文紹介
- MoDTCとMoDTPの特性の違い
- Mo – Amine錯体の技術資料紹介
- 二核MoDTC以外の三核MoDTC、単核MoDTCの性能の違い
- 有機モリブデン化合物の機能
- 潤滑油の今後の動向
- エンジン油の現状及び今後の動向
- 各添加剤の寄与する役割
- 摩擦調整剤 (FM) の説明、種類・その特性の違い
- MoDTCの摩擦低減能 (境界潤滑領域で特異的に摩擦係数を下げる) のメカニズム解説
- MoDTCと固体潤滑剤MoS2の違い
- MoDTCと相性のよい素材
- MoDTC添加油の学術論文紹介
- 低粘度化とFM (MoDTC) の燃費に与える効果の比較
- MoDTCのガソリン・エンジン油での使用例紹介
- MoDTCの乗用ディーゼル・エンジン油での使用例紹介
- MoDTCのヘビーデューティー・ディーゼル・エンジン油での実車試験結果紹介