架橋は高性能・高機能高分子材料を得る方法の一つである。架橋により高分子は他材料にみられない特徴的な物性や運動性を示すようになる。 本講座では、未架橋高分子系、特に高分子溶液の特性に簡単に触れ、架橋による液体から固体への変化をゾル-ゲル転移の視点から捉える。構造上の変化 (ネットワーク形成) と運動性の変化 (粘弾性) の相関に注目しながら、高分子の物性制御を行う上で基本的な概念を説明する。 それらの知見をもとに、複雑な架橋構造を有する水素結合ゲル、水溶性ゲル、バイオポリマーゲル、剪断で誘起されるゲル、などの具体的な例を紹介し、新規ゲル材料開発のヒントとする。
※入門部分1に重点をおき、架橋の導入法、架橋密度、架橋体の構造、運動性などについて、測定原理に時間を十分に配分し、基礎概念の復習を含めて初歩から説明します。一部の進んだ内容 (研究最前線のテーマ) については時間の制限により割愛する可能性がございます。