第1部. がん領域における事業性評価の手法とポイント
(2015年12月3日 12:30〜14:30)
ハーセプチンがブロックバスターになると誰が予測したか? 対象患者はHER2陽性の乳がん患者のみと少なく、当時のロシュは市場性が小さいと判断し、開発に消極的であった。 患者団体の熱意に負けて、やむなく開発に着手したのである。結果として、HER2陽性患者には確実な効果があり、殺細胞性抗がん剤に比してはるかに小さい副作用が、小さなマーケットの中ではあるが寡占状態を獲得し、高薬価であったこともありブロックバスターになったのである。このように、ファーストインクラスの抗がん剤などの事業性評価は難しい。 本講では、がん領域における事業性評価の手法とポイントを具体的に解説する。
- 医薬品の事業性評価や売上予測を立てる際の留意点
- 今までに無いまったく新しいメカニズムのベストインクラスの薬剤の市場予測は極めて難しい。どのようにしたらよいかについての考察を行う。
- 臨床開発部門とMKT部門のゴールは違う。議論を尽くして双方のゴールの合理的合致点を見出す。
- 将来の上市時点 (10年先?) の当該薬が参入する市場をどのように予測するのか? (治療方法や薬剤の顔ぶれは大きく変化していることもある)
- 獲得予想シェアを計算する
- 製品コンセプトが未だ不確定な臨床開発早期と、ほぼ製品プロファルが確定している臨床開発後期における売上予測の計算手法を考慮して、計算手法をどのように標準化するかが重要。
- 社内全体のコンセンサスが得やすい計算手法はどのようなものかについて、その考え方も含めて具体的に紹介する。
- 売上予測算出のプロセスから学ぶ、事業性評価レポート作成時に考慮しなければ
いけないポイント
- 当該領域の顧客の処方動機を的確に調査する。
- そして、処方動機に合致した価値が提供できるかを精査する。
- 開発段階の化合物の事業性評価に際して、考慮しなければいけないポイント
- 成功確率の見積もり方
- 開発費用の見積もり方
- その他
第2部. がん領域でのライセンス契約・交渉の留意点
(2015年12月3日 14:45〜16:45)
大手製薬企業が提携型研究開発企業を標榜するようになった結果、医薬ライセンスの対象は開発早期化合物が多くなり、また、独創的な開発化合物を有するベンチャー企業とのライセンスが増えています。この傾向はがん領域で特に顕著だと思います。 そこでここでは、創薬ベンチャー企業とのライセンスを中心に広く癌治療薬のライセンスの特徴について考察したいと思います。
- がん治療薬の研究開発における創薬ベンチャー企業台頭の背景
- 癌研究推進政策とその成果
- 公的研究機関による独創的癌治療薬の研究と創薬ベンチャー企業の設立
- 創薬バリューチェーンの一翼を担う創薬ベンチャー企業
- 医薬ライセンスにおける癌治療薬の特徴
- 研究開発コンセプトの独創性と多様性
- 高薬価のバイオ医薬品
- 開発戦略における変化
- バイオシミラーの動向
- 開発途上国の動向
- 癌治療薬のラインセンス交渉
- ライセンサーとしての創薬ベンチャー企業の特徴
- 開発データの脆弱性
- 企業目的の多様性
- 研究開発ポリシーを共有することの重要性
- 経済条件の協議における留意点
- ライセンスストラクチャーの多様化
- 経済条件の多様性
- 共同開発・販売の場合の多様性
- 企業買収
- リスク回避
- リスク回避がクローズアップされる背景
- 開発早期段階でのライセンス
- 企業基盤が脆弱な創薬ベンチャー企業
- がん治療薬市場における激しい主役の交替
- ライセンス契約におけるリスク回避
- オプション契約
- 最近のライセンス契約例
- 新しいキナーゼ阻害薬
- アポトーシス誘導薬
- 経口ヌクレオチド系がん治療薬
- 特異的キラーT細胞誘導促進薬
- 二重特異性抗体て