昨今、アベノミクスによる経済状況の持ち直し、将来の見通しの不確実性の減少、企業の投資意欲の増大などの傾向が見えることから、より一層の成長戦略の実現が待望されている。しかしながら最近の顕著な円安傾向、原油価格の下落、消費税の引き上げ、株式市場の不安定化によって、市場は不確定な要素が増加している。 これらを踏まえて、企業にとって、財務体質の強化、コスト経営など経費・原価の低減、さらに各企業の経営課題の解決、成長戦略の実施が急務となっている。成長戦略では、企業の収益性の確保、売り上げの増大等の目標を達成するために、研究開発の多角的な成果が、期待されている。特に、長期的な研究開発における費用と収益予測の確実性が求められる。 研究開発は、不確実性が高く、その評価は非常に難しいが、企業の永続性において、不可欠であるため、研究開発計画の確実性の向上が不可欠とされている。研究開発の戦略策定においては、費用の見積もり、技術ロードマップがキーとなる。 本稿では、中長期的研究開発における研究開発計画の効率化およびその具体的な予算配分について概説する。その結果、研究開発の戦略策定の多角化・見える化により、技術出身及び文科系出身の経営層が技術経営という視点での研究開発の議論に参画することができる。