近年の悪性黒色腫に対するがん薬物療法の発展は目覚ましく、ここ数年で多くの新薬が承認された。これら新薬は、1970年代に登場して以来長らく悪性黒色腫に対する標準的な薬物療法であったダカルバジンを対照として、生命予後の改善効果を証明した。最近では、これら新薬同士の優劣を検証する臨床試験結果も報告され始めている。悪性黒色腫を対象に有効性が証明されている新薬は、CTLA-4やPD-1などの免疫逃避に関わる分子を標的とした免疫チェックポイント阻害剤と、BRAFやMEKなどの発生や増殖にかかわる分子を標的としたキナーゼ阻害剤に大別される。前者には、ニボルマブ、イピリムマブ、ペンブロリズマブなどがあり、後者には、ベムラフェニブ、ダブラフェニブとトラメチニブの併用療法などがある。実臨床では、これらの新薬をどのように使い切るかが、患者の恩恵を最大限に引き出すために重要である。 本セミナーでは、これら悪性黒色腫に対する新薬について、これまでの臨床試験や現在進行中の臨床試験について、ステップを追って学習する。なお本セミナーは、2015年10月17日に行われる第67回日本皮膚科学会西部支部学術大会のシンポジウム2『進行期皮膚悪性腫瘍の治療戦略 新たな展開と今後の展望』での『メラノーマに対する分子標的薬:新薬を使いきるには?』の内容を発展的に継承するものである。 近年急速に発展している悪性黒色腫の薬物療法について、現場の臨床医の立場から分かりやすく解説いたします。ぜひ、ご参加ください