潤滑技術は、製造・輸送などのあらゆる文明基盤および快適さなどの差別化手段と密接に関わっている。経験工学としてノウハウが蓄積されてきたこの分野に科学的アプローチを目指す複合領域をトライボロジー (Tribology) という。実用面では機械を滑らかに動かしてエネルギーの有効利用と材料 (部品) の長寿命化につながるキーテクノロジーである。
このように重要な分野であるにもかかわらず工学系学部での教育は充分とは言えず、インターネットの情報源に頼らざるを得ないとの声を多くの技術者・研究者から伺う。本セミナーでは潤滑技術の基本原理を化学的側面から解説する。潤滑剤に関する複雑な技術に対して系統的な解説を通して氾濫する情報に対する識別力の養成を目標とする。
- 潤滑剤の分類と組成
~分子構造と機能に焦点を当てて~
- 分類
- 用途別
- 組成別
- 形態別
- 潤滑剤
- 潤滑油
- グリース
- 固体潤滑剤
- 基油
- 添加剤 (種類と機能および用途別選定のポイント)
- 潤滑剤の使用方法と評価方法
~ノウハウからサイエンスへ~
- 潤滑モード (ストリベック線図) と潤滑剤の働き
- モデル
- 操作条件
- 摩擦面の状態と潤滑剤の性状
- 泡発生に伴う潤滑不良と対策
- 潤滑剤の実用に際しての問題点
- モデルと現実のギャップ
- 省燃費油
- 長寿命油
- 潤滑油管理 (メンテナンス)
- 必要性と基本方針
- 劣化要因
- 劣化防止
- 劣化の判断と更油タイミング
- 適切な潤滑剤の選定
- 評価方法の考え方
- 試験
- ラボ試験
- 規格試験
- 実機試験
- 潤滑剤の歴史と動向
~サステイナブル社会へのキーテクノロジー~
- トライボロジーの紹介と10 大イベント
- グリーンケミストリーへの対応
- 生活とトライボロジー