本セミナーでは、熱処理の基礎から解説し、熱処理の方法、熱処理にともなうトラブルと対策について詳解いたします。
軟らかくする、削りやすくする、硬くする、強さとネバさ (靭性) を併せ持つようにする、あるいは耐摩耗性を改善する、繰返し荷重に対する疲れ強さを高めるなどの目的で、鋼には、さまざまな熱処理が利用されている。鋼の機械的性質をこのようにコントロールするには、適切な炭素量の鋼を選び、必要に応じてクロム、ニッケル、モリブデンなどを添加した合金鋼を採用することとともに、焼なまし、焼ならし、焼入れ、焼戻し、あるいはオーステンパーやサブゼロ処理など、目的に応じた熱処理を施して、鋼の“組織”を適切な状態に仕上げることが不可欠である。 この講演では、まず鋼の加熱・冷却にともなう組織の変化を説明し、次にその組織と機械的性質の関係を解説する。また、焼入れのような急冷をすると、しばしば焼割れや変形などのトラブルを経験することも多いが、その焼割れや変形、変寸などが現れるメカニズムと、それらを防止する考え方や新しい方法について概説する。